Google 広告のP-MAXキャンペーン(パフォーマンス最大化キャンペーン)をご存じでしょうか? 2021年11月に正式リリースされ、2022年10月末のアップデートで新たに5つの機能が加わっています。
P-MAXキャンペーンは、上手く活用すれば、成果拡大、広告パフォーマンス改善や売上アップへつながりやすいキャンペーンです。
「未導入のため詳細がよくわからない」「スマートショッピングキャンペーン/ローカルキャンペーンがP-MAXへ自動でアップグレードされたが、どうすればいいかわからない」というご担当者も多いかと思います。
今回はP-MAXの特徴、メリット・デメリット、2022年10月に発表された最新のアップデート内容を解説していきます。
※本記事でご紹介の内容は、記事公開時点の情報となります。
【目次】 |
1.P-MAXキャンペーンとは |
P-MAXキャンペーンは、Googleが2021年9月にリリースした広告プロダクト。2021年11月からは全ての広告主で利用可能となっています。P-MAXはPerformance Maxの略語で、日本語では『パフォーマンス最大化キャンペーン』となります。
特徴は、Googleが持つ緻密な機械学習データをもとに、複雑な設定や調整なしで広告のパフォーマンスが最大化されるという点です。
キャンペーンの目標ベースで、広告の配信面やオーディエンスが自動で最適化されます。
画像出典:
https://blog.google/products/ads-commerce/performance-max/
また、1つキャンペーンからGoogle 広告の全ての広告枠(検索広告、ショッピング広告、ディスプレイ広告、YouTube、Discover、Gmail、Googleマップなど)に広告を配信できる点も大きな特徴です。
2.P-MAXキャンペーンの種類 |
P-MAXは、マーケティング目的や配信面によって、下表のようにいくつかのプロダクトに分かれます。
通常の「P-MAX」に加え、スマートショッピングキャンペーンのアップグレード版となる「P-MAX with GMCフィード」、ローカルキャンペーンのアップグレード版となる「P-MAX for store goals」の3種類があります。
※2022年9月末までに、スマートショッピングキャンペーンとローカルキャンペーンはP-MAXへ自動でアップグレードされました。
P-MAXにアップデートすることによって、ショッピング広告やローカル広告でも検索広告やディスプレイ広告まで配信面が拡張されます。
製品名 | マーケティング目的 | 広告表示可能なチャネル | 備考 |
P-MAX |
リードの獲得 |
・検索広告 |
作成時にキャンペーン目標として「販売促進」「見込み顧客の獲得」「ウェブサイトのトラフィック」を選択 |
P-MAX with GMCフィード |
サイト内購入 |
・検索広告 |
キャンペーン作成時にキャンペーン目標として「来店数と店舗売上の向上」を選択して設定 |
P-MAX for store goals |
店舗来店 |
・検索広告 |
キャンペーン作成時にキャンペーン目標として「来店数と店舗売上の向上」を選択して設定 |
3.通常キャンペーンとP-MAXキャンペーンの入札優先順位
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P-MAXキャンペーンと通常のキャンペーンを同一アカウント内で同時に配信した際、広告が入札する際の優先順位(オークション参加への優先順位)は下記となります。
※2022年9月以降は現行のスマートショッピング広告とローカルキャンペーンはP-MAXに自動アップグレード済み。
同一アカウント内 |
オークション参加への優先順位 |
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キャンペーン1 |
キャンペーン2 |
|
検索広告 |
P-MAX |
完全一致:検索広告 |
スマートショッピング広告 |
P-MAX |
ショッピング広告:P-MAX |
通常のショッピング広告 |
P-MAX |
ショッピング広告(検索・ショッピングタブ):P-MAX |
ディスプレイ広告 |
P-MAX |
動的リマーケティング:P-MAX |
動画広告 |
P-MAX |
広告ランクが高い方 |
ディスプレイ広告 |
P-MAX |
広告ランクが高い方 |
ファインド広告 |
P-MAX |
広告ランクが高い方 |
ローカルキャンペーン |
P-MAX |
広告ランクが高い方 |
4.P-MAXキャンペーンの注意点 |
▼P-MAXキャンペーンの注意点 (1)設定するクリエイティブ(テキスト・画像・動画)が重要 |
(1)設定するクリエイティブ(テキスト・画像・動画)が重要
|
前述の通り、P-MAXはすべての配信面に広告が最適化配信されるため、YouTubeやディスプレイ枠などに配信される際のクリエイティブは、さまざまなバリエーションを登録することを推奨します。
動画や画像、テキストはサイズ違いやトンマナ違い、再生時間違いなど、さまざまなバリエーションを登録することによって機械学習の助けになり、広告のパフォーマンスを最大化できます。
また、動画を設定していないと、登録された画像素材等から自動で生成されて配信されるため注意が必要です。
▼P-MAXに設定できるアセットの規定
アセット名 |
上限数 |
規定と備考 |
画像 |
15 |
最大ファイルサイズ: 5120 KB |
ロゴ |
5 |
上限ファイルサイズ: 5120 KB |
動画 |
5 |
アカウントと連携するYouTubeチャンネルにアップされている動画が追加可能 |
広告見出し |
5 |
文字数:半角 30 文字(全角 15 文字) |
長い広告見出し |
5 |
文字数:半角 90 文字(全角 45 文字) |
説明文 |
5 |
文字数:半角 30 文字(全角 60 文字)×1まで 文字数:半角 45 文字(全角 90 文字)×4まで |
行動を促すフレーズ |
1 |
選択肢は以下 |
会社名 |
1 |
会社またはブランドの名前を入力 |
その他のオプション |
2 |
表示 URL のパスを設定 |
(2)レポートで確認できる指標が限られるため、詳細な分析が難しい
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P-MAX キャンペーンでは、設定したコンバージョン目標に到達するべく、Googleの機会学習に基づき、自動で入札から広告作成・配信が行われるため、運用者のオペレーション作業時間を削減することが可能です。
逆にいうと人の手による細かい調整ができません。
例えば、「指定ユーザー・オーディエンス属性への配信」「広告の画像・テキストの組み合わせ指定」「指定の広告の入札額の調整」といったチューニングが不可能。
※すでに既存のキャンペーンでオーディエンスデータが蓄積されたリストを持っている場合、P-MAXにもリストを設定することで機械学習のサポートになる場合があります。
広告レポートや管理画面上では広告結果が「最良・良・低」で表示され、トータルのインプレッション、クリック数などは見ることができますが「検索語句レポート」や「アセット別の表示回数やクリック数」といった詳細な指標は確認することができません。
そのため、細かい分析ができないという点があります。
このように、P-MAXはGoogleに運用を任せていく仕様であり、詳細な調整や分析ができないという点は注意が必要です。
(3)キャンペーン開始直後は学習期間のため、一時的にパフォーマンスが落ちてもチューニングはしない
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P-MAXを配信する上でデメリットと言えるのが、機械学習期間は成果を期待できないこと。
機械学習成果が発揮できるまで期間を要するため、コンバージョンとなるまで時間を要する場合があります。キャンペーン開始時は、ある程度予算を増やしてキャンペーンを稼働させた方が、自動学習が早まりパフォーマンスが高くなる可能性があるでしょう。
※Googleのヘルプページによると、『推奨する日予算はコンバージョン単価の10倍程』と定めています。例えば、コンバージョン単価が1万円の場合、10万円の日予算が必要。
また、配信開始してから機械学習のパフォーマンスに関わる、コンバージョン目標、予算、オーディエンス、アセットなどは半月〜1カ月ほどは大きな変更をしないことを推奨されています。
P-MAX配信開始後は機械学習が安定するまで一時的にパフォーマンスが悪くなる可能性もありますが、半月~1カ月は設定を変更せず、様子をみてみましょう。
(4)除外キーワードの設定をしたい場合、直接Googleの営業担当に依頼する必要がある
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検索広告などで競合ブランドや自社ブランドのキーワードの除外設定を行なうことが多いですが、P-MAXでは管理画面上では除外キーワードの設定ができません。
設定をしたい場合、直接Googleの営業担当に依頼する必要があります。Googleの営業担当がついていない会社様に関しては広告代理店などを通して依頼いただくのを推奨します。
また、配信面のコントロールについては、プレースメントの除外設定はアカウント単位では可能になります。その他、配信面をURLで除外指定することが可能です。
5.P-MAXキャンペーンのメリット・デメリット
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まとめると、P-MAXキャンペーンのメリット、デメリットは下記となります。
P-MAXのメリット ・1つの広告キャンペーンだけであらゆる広告枠に出稿可能 ・配信面が広がる×オーディエンスやクリエィティブが自動最適化されるため、CV数増加などパフォーマンスが上がる可能性が高い ・機械学習により自動最適化がされるため、広告チューニングの工数がかからない P-MAXのデメリット ・配信開始直後は機械学習期間(データ収集期間)のため成果が期待できない、またはCPAが高騰するリスクがある(機械学習が安定化するまで様子をみることを推奨) ・機械学習により最適化される為、レポートで確認できる指標が限られておりパフォーマンス低下時の要因がわかりずらい ・除外キーワードを設定したい場合、Googleの営業担当に依頼する必要がある |
6.P-MAXキャンペーン 最新アップデート内容 |
2022年10月、GoogleがP-MAXの新機能についての5つのアップデートを発表しました。
▼P-MAXキャンペーン5つの新機能 (1)P-MAXに新しい「パフォーマンス プランナー」機能が追加 |
(1)P-MAXに新しい「パフォーマンス プランナー」機能が追加
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パフォーマンスプランナーとは、広告費用のプランを作成し、キャンペーンに対する変更が主な指標や全体的な配信結果にどのように影響するかを分析するツール。
P-MAX向けのパフォーマンスプランナーが使用できるようになり、費用対効果を最大化するにはどのくらいの予算を見積もるとよいかの把握に役立てることが可能になりました。
パフォーマンスプランナーは季節やイベントごとに合わせたプランニングができ、例えばクリスマスや年末年始などに向けて予算を増額させる際に、パフォーマンスの予測に役立てることができます。
画像出典:
https://support.google.com/google-ads/answer/12926236?hl=en
(2)アセットグループ「自動化ルール」機能の追加が可能に
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P-MAX キャンペーンのアセットグループに「自動化ルール機能」の追加が可能になりました。
自動化ルールは、状況に応じて広告アセットグループの一時停止や有効のスケジュールを設定できる機能。
例えば、期間限定のセールなどがある際は、終了日時から時間帯まで細かく設定ができます。
(3)アセットに設定できるテキストの見出し数が5件から15件に増加
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P-MAXキャンペーンのアセットグループにアップロードできるテキストの見出しの数が、5件から15件まで増えました。
広告見出しを増やすことによって、広告文の訴求力と機械学習がさらに効率化されています。
(4)「変化の要因」機能が追加
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P-MAXキャンペーンにおいて、「変化の要因」を素早く把握できるように。
変化の要因機能とは、キャンペーンのパフォーマンスに大きな変化があった際に、その詳細を確認できる機能です。
変化の要因機能とはP-MAXキャンペーンのパフォーマンスの大きな変化を細かく把握できる機能。大幅な変化があった際にどのような原因が考えられるかを特定できる点が主なメリットです。
パフォーマンスが変動した原因のすばやい特定、問題の診断、最適化案の表示ができ、
これらは [変化の要因] パネルで簡単に確認できます。
画像出典:
https://support.google.com/google-ads/answer/9000655?hl=ja
(5)自社オーディエンス分析のアップデート
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P-MAX キャンペーンでは、ウェブサイト訪問者や顧客リストなど、コンバージョンに至る可能性の高いユーザーを指定したデータセグメントを、オーディエンス シグナルとしてキャンペーンに追加設定することによって、自動学習のスピードアップをサポートすることが可能です。
今回オーディエンス分析にデータセグメントが追加されることによって、このデータセグメントの分析も可能になるため、データセグメントに対するコンバージョン率などもわかるようになりました。
画像出典:
https://support.google.com/google-ads/answer/11372871?hl=ja
まとめ
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Googleのあらゆる広告枠をカバーするP-MAXキャンペーン。すでに活用している広告主が増えていますが、いまだ導入していない企業もあります。
P-MAXキャンペーンは、上手く使いこなせば、コンバージョン数やパフォーマンスを大きく向上できる可能性が大いにあるプロダクトであり、運用担当者の工数削減にも役立ちます。その一方でGoogleの自動学習機能によって最適化されるため、パフォーマンスが落ちた際のチューニングが難しいというデメリットもあります。
2022年10月のアップデート情報なども含め、他キャンペーンで使用できる分析機能などの実装がP-MAXでも着々と進んでおり、今後もさらに活用できる機能が充実していくと考えられます。
企業のご担当者には、いち早くP-MAXキャンペーンの特徴を理解して活用していくのがおすすめです。
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