企業やブランド、サービスにとって、日常的な顧客接点となったSNS。その中でも情報拡散されやすい特性を持ち、キャンペーンでの利用が多いプラットフォームが「Twitter」です。Twitter広告でキャンペーンのプロモーション効果を高めるために、気を付けるべき設定やテクニックとは?
ADDIXの広告運用・企画のプロ2人、ADDIXデジタルマーケティング事業部執行役員・中元とADDIX C&Sの広告運用担当・福原の対談記事、第三弾は「Twitter広告」についてお届けします。
対談参加者
株式会社ADDIX デジタルマーケティング事業部 執行役員 中元 直人
株式会社ADDIX C&S 仙台オフィス 福原 裕太
※本記事内の情報や部署名・所属等は記事公開時点(2021年9月)現在のものです。
※第一弾記事(2021年上半期SNS広告最新トレンド)、第二弾記事(Instagram広告)も公開中。併せてお読みいただけると、よりSNS広告理解が深まります。
Twitter広告は「1キャンペーンに1ターゲティング」の配信で調整していく |
株式会社ADDIX デジタルマーケティング事業部 執行役員 中元直人(以下、中元):
Twitterの場合、Facebook、Instagramでの広告運用とは注意点も異なってくるかと思います。
Twitter広告の運用で、特に気を付けるべきポイントなどはありますか?
株式会社ADDIX C&S 福原 裕太(以下、福原):
Twitter広告の運用でよく見られるのが、アカウント構成についての認識不足です。
Twitter社が推奨するアカウント構成というものがあるのですが、お客様の希望がそのとおりの構成に沿っていないケースは多いです。
Twitter社の推奨するアカウント構成は「1つのキャンペーン(管理画面上のキャンペーン)につき、1つのターゲティング方法を用いる」というものです(※1)。
Twitter広告のターゲティングとしては、「年齢・性別・地域」などの属性情報のほか、「興味関心」やハンドル名を指定して行う「類似するフォロワー」への配信、ツイートや検索で用いた「キーワード」にもとづく配信などがあります。
Twitter社の推奨は、これらを1つのキャンペーンにまとめずに、「興味関心」なら「興味関心」、「類似するフォロワー」なら「類似するフォロワー」というように、ターゲティング手法ごとにキャンペーンを作ることです。
このTwitter社の方針は、最適なターゲティング設定を見極めるためには、運用スタート時点では幅広いターゲティングで個別のキャンペーンを作り、同時に配信してテストすることが望ましいという考え方に基づいています(※2)。
(※1)参照:https://business.twitter.com/ja/blog/how-to-structure-campaigns.html
Twitter広告のシステムは、 広告キャンペーン、広告グループ、ツイート(=クリエイティブ)の3つのレベルで構成されています。1つのキャンペーンの中に複数の広告グループを設置し、各グループの中にツイートを設定・作成して配信します。
【Twitter広告の階層構造】
ターゲティングは広告グループごとに設定できますから、複数のターゲティングを1つの広告グループにまとめることも可能です。しかし基本はあくまでも「1つのキャンペーンでは、1つのターゲティング方法」になります。
Twitterが推奨するこのアカウント構成で運用すると、同時に数多くのキャンペーンが走ることになります。異なるキャンペーン間では、最適化による予算配分は働きませんから、キャンペーンごとに細かく予算を設定しておく必要があります。
ただし上記はあくまでも基本で、分けて配信すると広告配信対象のオーディエンスが不足する場合には、複数のターゲティング方法を1つのキャンペーンでまとめて配信することが普通です。
推奨されるアカウント構成と、その構成で配信した場合のオーディエンス数がどの程度か、という点を確認してからアカウントの構成を考えるといいと思います。
クリエイティブは訴求ポイントごとに複数作り、伝えるメッセージを明確に! |
中元:
クリエイティブについてはどうですか?
福原:
クリエイティブは必ず複数設定することをおすすめします。
1つのツイート内にいくつも訴求ポイントをいれてしまうと、Twitterの140文字以内という制限上、何が1番伝えたいメッセージなのかが伝わりにくくなってしまいます。
おすすめは、1つの訴求ポイントに対して、クリエイティブを1つ以上作成することです。
たとえば、キャンペーン対象の商品やサービスに「価格訴求」「高級感訴求」「期間限定訴求」など複数の訴求ポイントがある場合には、それぞれに対して1つ以上のクリエイティブを作成、配信することを推奨します。
運用の途中経過を見ながら、段階的にクリエイティブを調整したり、もっとも効果の高いクリエイティブに予算を集中させたり、といった調整を実施していけると、より理想的です。
中元:
各クリエイティブへの反応や途中経過を見ていくという意味では、広告ツイートへのリプライや引用リツイートに対する対策も重要ですよね。
福原:
その通りです。Twitter広告を利用する時の注意点として、事実無根の誹謗中傷や悪質なリプライを多くのユーザーに見せてしまう可能性がある、ということがあります。
反応を見守っていくと同時に、事前にリプライ対象者を制限しておくなど事前に必要な対策を検討・実施しておくことが大切です。
Twitter広告では、広告配信できないオーガニック投稿がある?! |
中元:
他にTwitter広告の運用でよくある間違いや、何か注意が必要なことはありますか?
福原:
Twitterの場合、広告配信の方法として「オーガニックの投稿を広告に設定する」「広告の管理画面で広告用のツイートを作成する」の2パターンがあります。その際、必ずしも全てのオーガニック投稿を広告配信できるわけではない、という点に注意が必要です。
たとえば「引用リツイート」は広告利用が出来ません。また、引用リツイートと同じような見た目になる「他のツイートのURLを本文内に入れたツイート」も同様です。
フォロー&ハッシュタグキャンペーンなどのユーザーに投稿を促すキャンペーンでは、寄せられた投稿を引用リツイートして広告に使いたい場合も多いと思います。
もし引用リツイートが広告に使えたら、たとえば公式アカウントでUGC(※2)、ユーザーの投稿を紹介して広告として配信することもできます。でも実際は、広告には利用できません。
ユーザーの投稿を広告として紹介したいのであれば、「広告用に画像を作成する」「キャンペーンLPを作って広告で誘導し、そこにユーザー投稿を載せる」といった手段を取らなければいけません。
(※2)「UGC」とは:
UGC(User Generated Content)とは、ユーザーによって作られたコンテンツを指します。 具体的には、ユーザーによるTwitterやInstagramなどのSNSへの投稿や、口コミサイトなどへのレビューなど。商品比較の参考など、ユーザーの重要な情報源です。
中元:
キャンペーンを計画して、広告を回す予算も立てていて、でも実際に配信しようとしたら出来なかった。そうなってしまったら取り返しがつかないですね。
広告のレギュレーションについて、情報をキャッチアップしておく必要がありますね。
福原:
そうですね。こういったレギュレーション周りの情報は、Twitterのヘルプページや広告コミュニティーなどに載っています。ただ実は、明記されてないルールも非常に多いです。
明記されてないということは、たとえば、今は配信出来ているけれど知らない間に出来なくなっていたですとか、ずっと別の方法で工夫して広告を実施していたのに、実はいつの間にか出来るようになっていた、ということもあり得るということです。
ですので、まずは想定している方法での広告配信を実際に試してみる。もしうまくいかなければ、どう対応すべきかを考えて、最善と考えられる方法を実行することが重要です。
中元:
レギュレーション周りのところは、知見のある代理店などのパートナーと相談して、事前にきちんと試しておけると一番確実ですよね。
福原:
社内リソースを持ち、SNSでのオーガニック投稿から広告運用までを事前にしっかりテストできるパートナーを選んで、共同で長期的に運用していくのがベストだと思います。
特定のパートナーと長期のタッグを組む最大のメリットは「コミュニケーションコストが下がる」ことです。任せるだけではなく、お互いが努力して運用を進めていくことがとても大事です。
中元:
Twitter広告に限らず、各プラットフォームの機能や規定は今後も頻繁に変更されていくことが予想されます。ADDIXは、2017年からTwitter広告認定代理店に継続して認定されています。Twitter広告について、何かお困りのことがあったりした際には、ぜひご相談いただきたいと思います。
キャンペーン成功の鍵を握るTwitter広告!パートナーの支援を得ることも大切 |
SNSを取り巻く環境は急激に変わり、広告配信においても、各プラットフォームの機能やレギュレーションなどが今後も頻繁に変化し続けていくことが予想されます。一方で、グローバルでデジタル化が急加速する現状において、Twitterを始めとするSNSが今まで以上にユーザーの日常生活に欠かせない存在となりつつあります。
この状況下で、企業やブランド、サービスが顧客に対して効果的なキャンペーンを実施したいと考えた際には、Twitterへの投稿と広告配信が、実行の手段としてとても効果的です。
Twitter広告の効果を高めて、キャンペーンを成功させるためには、自社でTwitterの公式サイトやヘルプなどで基本的な知識をしっかり学ぶだけではなく、知識や経験、最新情報を持ち、実際に事前にトライアルを行って試すことが出来る代理店などのパートナーの支援を得ることも大切です。
※本記事は2021年9月30日時点の情報を元に執筆しています。
参考記事
https://business.twitter.com/ja/blog/how-to-structure-campaigns.html
https://business.twitter.com/ja/help/campaign-editing-and-optimization/ad-groups.html
■プロフィール
株式会社ADDIX
デジタルマーケティング事業部 執行役員 中元 直人(なかもと なおと)
2014年ADDIXに参画。企業のソーシャルメディアマーケティング活動の企画実行を担うチームで業務に従事。一般的なアカウント運用代行における業務をはじめ、戦略設計、運用フローの設計、コンテンツ開発領域も手がける。VR領域の企業活用活性化に伴い、VRコンテンツの制作や企業導入支援の推進も行っている。
株式会社ADDIX C&S
仙台オフィス 福原 裕太(ふくはら ゆうた)
新卒で東京の建築関連企業に入社。電気工事の施工管理を担当し、工程管理やスケジュール管理、品質管理に従事。手順書作成などオペレーション周りの標準化スキルを習得する。2019年、株式会社ADDIX C&Sに参画。仙台オフィスにて、広告のプランナーとしてオペレーションチームで活躍中。ロジカルな思考に基づいた運用提案を強みとする。