1.発表内容とスケジュール |
Googleアナリティクスは、リリース以来、アクセス解析ツールとして広く利用されてきました。
Googleは、2022年3月、現行GAであるユニバーサル アナリティクス(以下UA)のサポート終了を発表。
まず、2023年7月1日からUAのデータ処理が停止となり、新たなデータは計測できなくなります。その後は最低6か月間データ閲覧が保証され、2024年1月1日以降のいずれかの時点でUAのサポートが終了されます。
サポートが終了すると、計測終了日以前(=2023年6月末まで)に収集・蓄積されたデータにアクセスできなくなります。Googleでは、サポート終了までにUAのデータをエクスポートして保存することを推奨しています。
UAのサポート終了日(=完全廃止日)は未定で、現時点(2022年3月)から数か月後に正式にアナウンスされる予定です。
なお、有料版UAであるGoogle アナリティクス 360でのデータ処理は、2023年10月1日まで延長されます。
【UAサポート終了とGA4の利用開始スケジュール】
【参考】アナリティクスヘルプ:ユニバーサル アナリティクスのサポートは終了します
https://support.google.com/analytics/answer/11583528?hl=ja
※今後の最新情報が更新される予定。
2023年7月1日以降、UAでのデータ計測はできなくなり、UA IDと紐づいて処理を実行するツールなどのデータ処理も停止されます。
これは、自動更新される運用レポートやAPIでのデータ提供、Googleデータポータルなど、UAと連携しているシステムや仕組みも実行されなくなることを意味します。
それ以降も計測や処理を続けるためには、次世代のGoogle アナリティクスであるGA4への移行が必要ですが、UAからGA4にデータの引継ぎはできません。
そのため、2023年7月以降も「前年同月比」を検証するには、2022年6月末までにGA4での計測を開始してデータを貯めておく必要があります。
なお計測停止後もサポート終了日までは、UAで過去に収集したデータにアクセスできますので、UA管理画面での過去データのレポート確認やデータエクスポートは可能です。
GA4は、UAとは概念から全く異なるツールです。
正式には「Googleアナリティクス 4プロパティ」といい、Google アナリティクスの第4世代の位置づけにありますが、これまでのGoogle アナリティクスの延長線にはない新しいツールです。
アプリ計測ツール「Firebase」をベースに、2019年に「アプリ+ウェブ プロパティ」として発表。その後ベータ版を経て、2020年10月より「Google アナリティクス 4 プロパティ(GA4)」の名称で正式に提供開始されています。
UAとGA4では計測できる指標も定義も異なり、UAとGA4のデータは一致しません。UAで計測できている指標でも、GA4では計測できなくなるものもあります。
最大のポイントは、計測の軸が「セッション」から「ユーザー」へ変わったことです。
セッションやPVなどのヒットも、全て「イベント」として計測される仕様に変更となっています。
変更の背景には、UAとGA4の思想の違いがあります。
UAは「サイトのパフォーマンス」を分析し、サイト訪問者をサイト内でコンバージョンさせるために活用。一方、GA4は「サイト内のユーザー行動」を分析し、サイト訪問者を顧客化してコンバージョンを増やすために活用されます。
【UAとGA4の違い】
また、GA4の導入には下記のような大きなメリットがあります。
「UAとは別の解析ツールで新たに計測を始める」意識を持って、このタイミングで計測指標やコンバージョン、レポート項目などの見直しを行っておくのがおすすめです。
プライバシーが重視され、今後起こりうる変化に対応可能 機械学習を活用し、カスタマー ジャーニーに関するインサイトをプラットフォームとデバイスをまたいで分析 Google の広告プラットフォームとのシームレスな統合が強化され、キャンペーンのパフォーマンスの最適化とマーケティングの ROI の向上を実現 |
出典:
https://support.google.com/analytics/answer/10089681
【参考】ヘルプセンター GA4についての最新の情報
「次世代の Google アナリティクスのご紹介」
https://support.google.com/analytics/answer/10089681
どの程度の実装を行うかによって変動しますが、GA4への移行には約2週間~3カ月程度かかります。
先に述べたように、2023年7月以降も前年比較をしたい場合は、遅くとも2022年6月末までにGA4での計測開始が必要です。逆算すると、4月の早い段階でスケジュールを立てて、移行を進めていかなければなりません。
GA4タグ設定後にデータが記録される仕様ですので、新たにGA4のタグを設定・導入し、初期設定だけでも始めておきたいところです。
GA4とUAは並行して計測可能なため、まずGA4の初期設定を完了して、利用を開始しておくのがおすすめです。なお、GA4を利用開始しても、UAのデータには影響しません。
GA4の導入は、大きく3つのパートに分けられます。
【GA4導入のステップ】 (1)GA4の利用開始 (2)利用設定の検討 (3)実装と連携ツールの処理 |
GA4の利用開始には、「GA側の管理画面での設定」と「タグの設置」の両方が必要です。
管理画面だけで利用開始しても、GA4でデータは計測されません。
「タグの設置」には、Googleタグマネージャー(GTM)が入っていると便利ですが、他のツールや、サイトに直接タグをいれる方式でも入れることは可能です。
【参考】ヘルプセンター
「Google アナリティクス 4 に切り替える」
https://support.google.com/analytics/answer/10759417?hl=ja
利用開始と並行して、現在の利用状況を踏まえて、今後GA4の設定をどうするかを決めていく必要があります。
これまでの計測設定を見直すよい機会ですので、社内で既存GA をどのように使っているのかを情報収集し、改めてどんな分析が求められているのかを検討・整理して、GA4の設計に落とし込んでいきましょう。
なお、GA4の利用には前提としてGDPRへの対応が必須です。設計と同時に、プライバシーポリシーの改訂やGDPRに応じた社内体制の整備を進めていく必要があります。
UA→GA4移行の際の設定検討項目 ・コンバージョンの見直し(古いものや使っていないものがないか) ・既存レポートで取得している項目(GA4での計測可否、変更の影響) ・新たにGA4で取りたい指標や実現したいもの ・プロパティ構成の検討(計測除外などの設定) ・UAと連携しているツールの洗い出し ・GDPRへの対応(プライバシーポリシー改定など) など |
利用開始後、GA4に実装を行っていきます。
まず、初期実装(権限付与、データ保持期間の設定、Googleシグナルの有効化、拡張計測機能の設定、クロスドメイン設定、コンバージョン設定など)や、サイトやアプリ特有の実装(Eコマース設定など)を行います。
設定が完了したら、計測ができているかを確認後、本番リリース。APIでのツール連携なども開始します。
ユーザー ID、データのインポート、Measurement Protocol、BigQuery Export などより詳細な設定を行う場合は、アナリティクス ヘルプをご参照ください。
【参考】[UA→GA4] 移行の参考情報 - アナリティクス ヘルプ
https://support.google.com/analytics/answer/10607999
GA4は、ユーザー単位でカスタマージャーニーの分析や機械学習による予測も可能なアクセス解析ツールで、利用には大きなメリットがあります。GA4への移行は早めに進めることがおすすめです。
しかしUAとGA4は全く異なるツールで、GA4の導入には知識が必要です。限られた時間で詳細な設計と実装を行うためには、専門知識を持つパートナーのサポートを受けることがおすすめです。ADDIXでは、GA4導入支援サービスをご提供開始しました。現状のUAの環境確認から、GA4移行に関してサポート可能です。お気軽にお問合せください。