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NFTとは?メタバースとの関係やプラットフォームと最新事例をご紹介

Posted by ADDIX on Mar 11, 2022 5:58:48 PM

2021年、海外での数億円を超えるいくつかの高額取引が話題となり、「NFT(Non-Fungible Token)」をビジネスチャンスと捉える企業の参入が相次ぎました。

国内でも2022年2月25日、楽天のNFTプラットフォーム「Rakuten NFT」がスタートし、NFTによるビジネスの取り組みが本格化しています。

また、近年注目を集める「メタバース」では、将来的にNFTなどのブロックチェーン技術を活用した経済圏が発展するとも言われています。

NFTについて解説し、国内外の主なプラットフォームと最新事例をご紹介します。

※「メタバース」についてはこちらの記事をご参照ください。

「メタバースとは?最新海外事例や注目される理由を解説!」記事はこちら

※本記事でご紹介の内容は、記事公開時(2022年3月)の情報を基に作成しています。

  

 

1.NFTとは何か?

「NFT」は「非代替性トークン」と訳され、代替ができないデジタル資産です。

「Non-Fungible Token」の略で、「Non(~ではない)」+「Fungible(交換可能であること、取り替え可能であること)」+「Token(トークン)」、つまり直訳すると「交換・代替ができないトークン」を意味します。

NFTはブロックチェーン技術による暗号資産の一種で、他のもので『代替できない』ことが特徴です。

デジタルコンテンツはそもそも、コピーして同一の複製を作成できるものです。それに対し、NFTを活用したデジタルコンテンツでは、「NFT化されたデータ(コンテンツ本体)」に「データの所有権などを示したトークン」が紐づくことで、そのコンテンツが「唯一無二のものであること」「その作品の現在の正当な所有者であること」が保証されます。

NFTはマーケットプレイスなどで2次流通が可能で、売買を通して所有者が移り変わっていきます。各NFTの購入履歴などのデータがブロックチェーン上にすべて記録されていき、資産価値が担保され、取引の安全性が高まる仕組みです。

NFTの活用としては、デジタルアイテムのほか、非デジタルの(=現実世界に実在する)物品や不動産などでのユースケースも出てきています。

デジタル上のユースケースでは、デジタルアートやデジタルトレーディングカード(アーティスト、アイドル、スポーツ選手など)ゲーム内やメタバースなどの仮想空間におけるアイテム(衣装や土地など)での利用例があります。今後、ブロックチェーン技術を活用したメタバースの取り組み増加とともに、メタバースと結びついたNFTの活用は増えていくと予測されています。

また非デジタルでは、実在するアート作品の証明書(※1)不動産の登記簿(※2)をNFT化した例があります。

(※1)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000269.000011454.html
(※2)https://assets.minkabu.jp/news/article_media_content/urn:newsml:tdnet.info:20210921400428/140120210921400428.pdf

 

2.NFTプラットフォーム

NFTは、NFTプラットフォームを通じて、発行から購入、転売という価値交換をデジタル上のサービスとして実現する仕組みでもあります。NFTプラットフォームには、発行側と購入者側の機能的側面があります。

  1.  NFTプラットフォームの機能
      ・クリエイター・企業などのコンテンツホルダー向け機能(発行・販売など)
      ・購入者・ユーザー向け機能(購入・保有・再販など)


NFTプラットフォームは、利用の拡大によって現在進行形で進化し続けています。

NFTは、多くのNFTプラットフォーム上で仮想通貨によって取引されます。そのためNFTの購入には、事前に仮想通貨取引所での仮想通貨の準備が必要でした。

これに対し、仮想通貨がなくてもクレジットカードなどで決済できるプラットフォームも増えており、NFT購入のハードルは下がりつつあります。

 

■海外の主なNFTプラットフォーム



・世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea

 

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(※OpenSeaより)


OpenSea(オープンシー)」は、世界一有名なNFTプラットフォームであり、世界最大のNFTマーケットプレイスでもあります。イーサリアムによるブロックチェーン上で運営され、簡単にNFTの発行・売買が可能です。

 

・仮想通貨取引所Binanceで運営されるNFTプラットフォーム「Treasure Land

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(※Treasure Landより)

 

世界最大級の仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」が提供する「Treasure Land」は、Binanceブロックチェーン上で運営されるNFTプラットフォームです。Binanceの各サービスと連携して利用できます。

 

■国内の主なNFTプラットフォーム



・楽天IDと連携し、クレジットカードで決済が可能な「楽天NFT(Rakuten NFT)

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(※Rakuten NFTより)

 

楽天が運営するNFTマーケットプレイス・販売プラットフォーム「楽天NFT(Rakuten NFT)」。楽天IDと連携し、IDに紐づくクレジットカードで決済が可能。楽天ポイントも利用できます。
複数の国内有名・大手企業が、Rakuten NFTとのNFT参入を表明しており、国内でのNFT利用拡大を促進するものとして注目されています。

・国内大手の仮想通貨取引所Coincheckが運営する「CoincheckNFT(β版)

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(※CoincheckNFT(β版)より)

国内大手の仮想通貨取引所「Coincheck(コインチェック)」が運営するNFTプラットフォーム。Coincheckで口座を開設していれば、NFTの出品や購入・保管が可能です。

 

3.NFT参入事例

スポーツ


(1)北米男子プロバスケットボールリーグ「NBA」
デジタルトレーディングカード

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(※NBA Top Shotより)


NBA Top Shot」は、米国の男子プロバスケットボールリーグ NBAのデジタルトレーディングカードです。試合でのハイライトシーンをNFTとして所有できます。

NBA Top Shotでは、独自のイベントやキャンペーンの実施でも、ファンの熱狂的な人気を集めています。また、人気選手のカードが日本円で1,000万円を超える高額で取り引きされるなど、スポーツ業界でのNFT成功事例として注目されました。

(2)国内プロ野球リーグ「パ・リーグ6球団(×メルカリ)」
名シーンなど試合の公式映像のNFTコンテンツ
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(※プレスリリースより)

2021年12月23日、国内プロ野球リーグであるパ・リーグ6球団(およびパシフィックリーグマーケティング)とメルカリは、パ・リーグ6球団公式のデジタルサービス「パ・リーグ Exciting Moments βをリリースしました。

第一弾では、2021シーズンで活躍した選手を中心に計18プレーを収録。試合の映像をデジタルコンテンツとしてNFT化し、数量限定で販売しました。2022年には、第二弾の販売開始や再販機能の提供、ブロックチェーンでのコンテンツ管理の開始が予定されています。

 

エンターテインメント



(1)米「ディズニー」
NFTコレクション発売・メタバース市場への取り組み開始

出典:
https://twitter.com/veve_official/status/1456759768899481610


米エンターテインメント企業 ディズニーは、NFTおよびメタバース市場への取り組みをスタートしました。

2021年11月12日、米ストリーミングサービス「Disney+(ディズニープラス)」のリリース記念日を祝したNFTコレクション「Golden Moments(ゴールデンモーメンツ)」を発売。NFTアプリ「Veve」上で公開・取引されました。このコレクションは、ディズニーやピクサー、マーベル、スターウォーズなどの作品から名シーンやキャラクター、アイテムをNFT化したものです。

また同社は2022年2月、NFT分野の開発マネージャーの求人を公開しており、今後のNFT事業展開が予想されます。

タバースについては、2022年3月時点で具体には発表されていませんが、2021年11月、ディズニーCEO Bob Chapek氏は決済発表で「メタバースの準備ができている」と述べました。また2022年1月には、米国でメタバーステーマパークの特許を取得しています。

 

小売



(1)小売最大手「ウォルマート」
メタバースでアイテム発売とNFT発行に備えて商標出願

2021年12月、世界最大のスーパーマーケットチェーンである 米ウォルマートが、米特許商標庁へ新たな商標登録を出願し、メタバース内でのアイテム(仮想商品)販売に向けて、独自の仮想通貨とNFTの発行に備えていることがわかりました。

「WALMART」の文字商標を利用目的(暗号通貨やNFT、仮想商品の販売等)に応じて複数出願しており、仮想商品の製造販売に備える内容として一部メディアで報道されました。

この件に関して、ウォルマートからは現時点でサービス提供予定の発表などは行われていません。
ウォルマートの広報担当者は、「新たな技術が形作る将来のショッピング体験について当社は引き続き検討していく」と述べています。

 

不動産



(1)国内不動産・投資企業「マーチャント・バンカーズ(×世界)」
物件登記簿謄本のNFT化


2021年09月、不動産業や投資業務などを行う国内企業マーチャント・バンカーズ株式会社は、NFT開発を行う株式会社世界と提携。第1号案件として、マーチャント・バンカーズ株式会社が保有する不動産物件「山中湖山荘」をNFT化することを発表しました。

山中湖山荘は富士山が眺望でき、海外投資家のニーズも期待できる物件であり、登記簿謄本などをNFT化して販売します。

 

アート

(1)国内出版大手「集英社」
NFT証明書付きマンガアート

出典:
https://twitter.com/MangaartJ/status/1498479916291006464


集英社は2021年3月1日、同社のマンガ原画デジタルアーカイブを活用した「集英社マンガアートヘリテージ」にて、マンガアートの販売を開始。2022年同日に1周年を迎えました。

集英社マンガアートヘリテージは、マンガ作家の画業に光を当て、彼らの作品に「美術品」としての永続的な価値を与える取り組みです。各マンガアート作品には、スタートバーン株式会社が提供するブロックチェーンNFT証明書発行サービスを導入し、履歴を永続的に記録します。

尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』、池田 理代子氏による『ベルサイユのばら』など、人気マンガ家のアート作品が続々と販売されています。

 

アパレル



(1)国内セレクトショップ「BEAMS(×Rakuten NFT)」
ファッションやアートなどのNFTを制作

出典:
https://twitter.com/RakutenNFT/status/1495948972040597507


楽天グループは2022年2月22日、国内大手セレクトショップ BEAMS(ビームス)と「Rakuten NFT」でのNFTコンテンツの発売に向けた合意を発表しました。

ビームスは、アートやファッションなどのNFTコンテンツを「Rakuten NFT」で展開予定です。

NFTの開発は、ビームスが出資するメディア事業やコンテンツ企画、制作企業であるビーアットが担当。「全ての表現者が創造することによって生きていける社会」の実現を目指し、カルチャー領域のNFTの活性化を促す予定とのことです。

 

(2)スポーツアパレルブランド「adidas」×ラグジュアリーブランド「PRADA」
ユーザー参加型のNFTプロジェクト

出典:
https://twitter.com/adidasoriginals/status/1484213125691977733


2022年1月、スポーツアパレルブランド「アディダス」の「adidas Originals」とイタリアのラグジュアリーブランド「プラダ(PRADA)」が、初のオープンメタバース&ユーザー参加型のNFTプロジェクト「adidas for Prada re-source」を発表しました。

このプロジェクトはデジタルアーティストであるZach Lieberman氏との共同企画。募集に応募した一般ユーザー3,000人の作品をNFT化し、各作品を1枚のタイルとして、Lieberman氏が 1点のNFTモザイクアートを制作します。

参加ユーザー3,000人のうち1,500人は、「adidas Originals」がメタバースプロジェクトの一環として発売したNFTコレクション「Into the Metaverse」の所有者(1,000人)と、購入を希望していたが購入できなかった人(500人)から選ばれました。

 

まとめ

高額取引が注目されがちなNFTですが、真の価値は「価値交換の仕組み」をデジタル上で実現できることにあります。メタバースでの経済活動にも必須の技術です。個々のNFTの来歴が記録できるため、実在するアート作品や不動産においても、取引透明性を高める技術として期待されています。

また、NFTには「データにプログラムを付加できる(=プログラマビリティ)」特性があり、あらかじめプログラミングされた処理を、ネットワーク上で自動で実行します。

例えばNFTに「売買が行われる度に、クリエイターに代金の一定割合がマージンとして支払われる」プログラムを付けることも可能です。従来のリアルな取引では実現できなかった新たな売買の仕組みが生まれる可能性があります。

今後さらに進む「行動のデジタル化」では、経済活動の信頼性向上が欠かせません。唯一性の担保によってデジタル資産の価値を保証するNFTは、その基盤として企業やクリエイター、個人での活用が経済活動の中でますます広がっていくと考えられます。

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Topics: メタバース/VR/NFT