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結婚式場やウェディングドレス、ハネムーン先選びもVRで!海外ウェディング業界のVR活用事例

Posted by ADDIX on Sep 3, 2021 1:17:24 PM

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中で多くのカップルが、結婚式の延期や中止を余儀なくされました。米国のウェディングプランニングサイト The Knot がまとめた「COVID-19グローバルウェディングレポート」によれば、2020年9月~2021年1月の間に結婚式を予定していた1万組のうち、約6割が結婚式を延期または中止しています。

一方、残りの約4割は『予定通りの日程で式を実施した』と答えました。この結果からはコロナ禍において、感染対策に注意しながら準備を進め、結婚式を実施したカップルも少なくなかったことが伺えます。そこで役立ったのが、VRを活用した様々なオンラインサービスです。

コロナ禍を受けて生まれた、VRを活用した海外ウェディング関連サービス事例をご紹介します。
 

※本記事は2021年8月27日時点の情報を元に執筆しています。

「フライング タイガー コペンハーゲン バーチャルストアツアー」記事はこちら

ドレス×VR:360度画像でウェディングドレスを試着予約してその場で購入!

2020年、米国でウェディングドレスやフォーマルウェアを専門で取り扱う「David's Bridal」は、コロナ禍による店舗閉鎖を機にECサイトの強化を図りました。同年7月には、3DとARコマースの専門会社であるVertebraeに委託し、VRを活用して、顧客が自宅からドレスを見ることができるシステムの開発に取り組みました。

David's Bridalが、まずVertebraeのスタジオにウェディングドレスを郵送します。ドレスを受け取ると、Vertebraeはドレスの写真を、あらゆる角度から1着につき200枚以上撮影。フォトグラメトリーと呼ばれるプロセスを経て回転する3D画像を作成し、David's BridalのECプラットフォームにアップロードし、ユーザーへの公開により完成します。

(※1)フォトグラメトリー(フォトグラメトリ):
フォトグラメトリーとは、物体を様々な方向から静止画撮影し、その写真をコンピューターで解析して3Dモデルを構築する技術。

このシステムは、2020年9月末にDavidsBridal.comで公開されました。同年10月15日の時点では、このシステムによって60種類のドレスを見ることができます。この60種類のうち80%のドレスが店舗でも販売されています。

 

ウェディングドレスの3Dモデル:ドレス詳細ページのスクリーンショット

(※ウェディングドレスの3Dモデル:ドレス詳細ページのスクリーンショットhttps://www.davidsbridal.com/Product_sheer-lace-and-tulle-ball-gown-wedding-dress-wg3861_all-wedding-dresses


「自宅で3Dでドレスを見て、そのまま店舗での試着を予約することもできます。ドレスを回転させると100%のスケールで細部まで見ることができますから、お客様は安心してオンラインで購入することもできます。」(談: David's Bridal デジタルエクスペリエンス最高責任者 Lizzy Ellingson)

David’s Bridaldehaでは近い将来、新たにバーチャル試着機能を追加する予定です。ただしその前に、顧客の利用状況に関するデータを十分に集め、どの程度店舗やバーチャルでの予約につながるのかを分析して、3DやARの効果を見極める計画です。

 

指輪×VR:結婚指輪をオンラインでデザインし、360度動画で見て購入

ダイヤモンドジュエリーECサイト「BRILLIANT EARTH」では、オンライン上で指輪のデザインから試着、VRでのコンサルティングなど、結婚指輪を選ぶ全プロセスを完結することができます。

指輪のデザインでは、まず豊富な種類の中からベースとなるデザインを選び、ダイヤモンドの形(全円かオーバルかスクエアかなど)やカラット数、使用する金属素材(プラチナか18金か、など)を選んで好みの指輪を作成することが出来ます。

作成した指輪は360度のVR動画で見ることが出来るため、裏側や横からのフォルムもじっくり確認することが可能です。

 

ダイヤモンドリングの360度画像:詳細ページのスクリーンショット

(※ダイヤモンドリングの360度画像:詳細ページのスクリーンショットhttps://www.brilliantearth.com/Four-Prong-Petite-Comfort-Fit-Ring-White-Gold-BE1199-1325451/


指輪が決まったら、スマートフォンから「Virtual Try On(バーチャル試着)」を選択。自分の手の写真を撮影してアップロードします。試着しながら、デザインを変えて試すこともできます。完成したデザインは保存したり、パートナーや家族、友人などとシェアすることも可能です。指輪は送料無料で購入可能。30日以内なら返品も無料です。

 

結婚式×VR:VRでライブ配信し、VR映像として永遠に残す

米国の「Save the Date VR」では、結婚式のライブ配信を提供しています。遠方から結婚式会場に来ることが出来ないゲストに対して、事前にVRヘッドセットを発送。ヘッドセットを装着すれば、結婚式場内の固定位置からの視点で、360度のVR映像で結婚式を楽しむことが出来ます。

Save the Date VR:スクリーンショット

(※Save the Date VR:スクリーンショット https://savethedatevr.com/

 

Save the Date VRの撮影チームは、式を行うカップルと協力してカメラの位置を決め、事前にすべてのセットアップを行います。撮影によって、一生の記念となる式の進行を妨げることがないように、との配慮からです。

また撮影された360度映像は、一本の映像コンテンツとして見ることが出来るように編集・加工されます。このVR映像は、VRヘッドセットやパソコン、スマートフォンなどで、いつでも何度でも観ることができます。

料金プランは、シルバープラン(599米ドル、日本円で約6万6千円 )、ゴールドプラン(899米ドル、約9万9千円)、ローズゴールドプラン(1399米ドル、日本円で約15万4千円)の3種類が用意されています。VRヘッドセットのレンタルは別料金で、10米ドル(日本円で約千百円)~となっています。価格はレンタルするヘッドセットの数とレンタル期間によって異なります。返却時の送料は元払いです。

(※)1米ドル=110.10円で換算(2021年8月27日時点の為替レートに基づく)

 

結婚式場選び×VR:会場選びから、装飾まで3Dモデルでセッティングをプレビュー

米国カルフォルニア州を拠点とする結婚式場プランニングサイト「3D Event Designer」を使うと、結婚式場を選ぶことができ、インタラクティブに式場内のフロアをセッティングしデザインすることが出来ます。「3D Event Designer」ではドラッグ&ドロップ機能によって、会場に配置するテーブルや椅子、テーブルクロスビュッフェやドリンクのセッティング、部屋のレイアウトなどをバーチャルで試すことができます。

3D Event Designerのサイトには、ホテルやイベント会場など、実際の結婚式場として使える施設が何十も掲載されており、会場を選んでセッティングを試してみることも可能です。

3D Event Designer_image

(※AC Hotel San Francisco Airport/Oyster Point Waterfront Bayview Room:テーブルセッティングをデザインした後の3Dモデル 出典:https://www.3deventdesigner.com/project/614f2a79d94bb9b77552b1a74f80790e94b676f7


「ネイビーのテーブルクロスとベージュのテーブルクロスで、ダイニングテーブルがどのように見えるかを確認したい場合、ボタンをクリックするだけで選択肢が表示されます。」(談:シカゴのウェディングプランニング会社 Gilded Aisle Weddingsのウェディングプランナー、Lynn Kennedy氏)

 

新婚旅行先選び×VR:旅行先と現地でのバーチャルハネムーン

新婚旅行の行き先マッチングサイト「Virtual Honeymoon」では、VRで旅行先の体験が試せるExplorVRと提携し、事前にVRで目的地を体験できる機能を新たに加えました。

JAMAICA WEDDING CINEMATOGRAPHERS
https://youtu.be/Uzq6sWVuL30

(※virtualhoneymoon.com内掲載ページ:https://www.virtualdestinationwedding.com/destination/jamaica)

「Virtual Honeymoon」は、新婚旅行でどこへ行くか迷っているカップル向けのツールです。まずWebサイト上で一連の質問に答えると、希望にマッチングする上位2つの目的地が提案されます。次にサイト上の問い合わせフォームに入力して送信。すると、マッチング結果を含むすべての質問と回答が旅行代理店にメールで送られ、旅行代理店から直接フォローアップが受けられる仕組みとなっています。

「Virtual Honeymoonは、ExplorVRと提携してVR技術を採用することで、エキサイティングな旅行体験を顧客に提供しています。Virtual Honeymooは『テクノロジーを取り入れる先進的な企業でありたい』という当社の価値観と一致しており、この提携を大変うれしく思います。

ミレニアル世代の多くは企画に参加したいと考えており、VRはこのニーズを叶えるツールとしてとても有益だと思います。VR体験は、まるで本当にその場にいるかのような臨場感を感じさせます。すべての顧客は自分の結婚式やハネムーンをスムーズに済ませたいと思っていますから、先にVRで目的地へ行ってみる体験によって安心感を得られます。」(談:ExplorVR 社長兼CEO Devin Kinasz氏)

 

まとめ:VR活用ウェディング事例の特徴は「顧客目線のサービス設計」

2021年を半ばを過ぎましたが、新型コロナウイルスの感染拡大には終息の気配が見えない状況が続いています。2020年に式を延期したカップルも中止するか、感染対策に留意した式を行うか決めるべき時期になっています。

人生の大きなイベントである結婚式では、誰もが納得の行く選択をしたいものです。コロナ禍のためドレスショップやジュエリーショップ、式場をいくつも周って見比べることが以前よりも難しくなった現状において、自宅から360度の3Dモデルを見てドレスや指輪を選んだり、会場のセッティングを3Dで試してデザインしたりできるこれらのサービスは、大いに役立ちます。

また、長い距離を移動することが推奨されない現状では、会場に来られないゲストのためにVRで式をライブ配信したり、VR映像として共有したり、といったサービスも有益です。

コロナ禍で生まれたこれらのサービスの特徴は、顧客目線でサービスが設計されていることです。
CX(顧客体験)の重視は、今後も顧客に選ばれ、生き残っていくサービスに必須の視点です。VRを活用したこれらのサービスは、その便利さからコロナ終息後も発展し、残っていくでしょう。
ウェディング関連企業には、VRを活用したサービスに乗り遅れないことが求められています。

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参考記事
https://www.digitalcommerce360.com/2020/10/15/davids-bridal-rolls-out-3d-and-ar-tech-for-its-wedding-dresses/
https://www.nytimes.com/2021/01/05/fashion/weddings/5-tech-tools-that-can-enhance-your-wedding-day.html
https://www.brilliantearth.com/news/virtual-try-on/
https://www.travelweek.ca/news/virtual-honeymoon-launches-sister-sites-partners-with-explorvr-amid-company-growth/

https://www.theknotww.com/press-releases/globalcovidweddingsreport/

 

Topics: 海外事例, メタバース/VR/NFT