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コロナ禍における仏ラグジュアリーブランドのXR活用事例

Posted by ADDIX on Sep 17, 2021 4:38:50 PM

フランスのラグジュアリーブランドでは、VRやARなどのXRコンテンツを、2010年代からすでに数多く発信してきました。当時のXRは「目新しい実験的コンテンツ」の位置付けでした。

2020年、新型コロナウイルスが世界に広まると、XRコンテンツは顧客との重要なコミュニケーション接点に位置付けられるようになりました。現在では、顧客体験価値を提供する販促施策として、より実用的かつ多様な形で再び活用が進んでいます。

本記事では、アフターコロナにおけるブランドのデジタル施策の参考にもなる、コロナ禍でのフランス・ラグジュアリーブランドのXR事例をご紹介します。
記事末では、XRの未来についてのFacebook CEOマーク・ザッカーバーグ氏の発言もご紹介しています。


取材・執筆:株式会社ADDIX デジタルマーケティング事業部 コミュニケーションプランニングユニット マネージャー / パリ駐在所長 鵜飼 佐保子


【事例1】ディオール:VRでパリシャンゼリゼ通りの旗艦店でのショッピングを実現

ディオールは、2020年5月にVRを活用したバーチャルストアをオープンしました。モデルとなったのはパリのシャンゼリゼ通りにあるフラグシップショップで、フレグランスやボディケアなどのアイテムを中心に取り扱っています。世界のどこからでもディオールを代表するショップにアクセスすることができ、その世界観をいつでも満喫できるのが魅力です。

VRコンテンツでは、自由に店内を歩き回ることができます。店内にある製品をクリックすると、製品説明やキャンペーン動画を見ることができます。そのままECサイトに遷移して、商品を購入することももちろん可能です。
今後も年に6回、店内のアニメーションや製品を変える予定で、定期的に訪問したくなる仕組みになっているのもポイントです。

▼ディオール:パリシャンゼリゼ大通りのVRフラグシップショップ
https://virtualstore.dior.com/champs-elysees/

 

 

【事例2】ルイ・ヴィトン:パリのフラグシップショップでマスコットと会話できるAR施策

ルイ・ヴィトンも、パリのフラグシップショップを使用したコンテンツを発信しました。こちらのコンテンツは、世界から店舗にアクセスするのではなく、店舗からブランドの世界を拡張するARコンテンツです。

ヴァンドーム広場の店舗の前に立ち、ルイ・ヴィトン公式アプリを起動してスマホを店舗に向けると、画面の中で、店の建物の中から次々とマスコットたちが登場し、店舗の外壁を登って屋根の上で、楽器の演奏やダンスを披露します。

2021年春夏コレクションの訴求の一環で、マスコットたちと会話することもでき、ブランド体験が楽しめる施策となっていました。

▼ルイ・ヴィトンAR施策の体験ビデオ▼
https://youtu.be/895ONiAY3YU

 

【事例3】バレンシアガ:2021秋冬コレクションをゲームとVRで発表

今までは、パリやミラノなどで発表されるのが常だったブランドの最新コレクションですが、今後は発表の場が多様になるかもしれません。

バレンシアガは、2021年秋冬コレクションを「ビデオゲーム」で発表しました。「Afterworld:The Age of Tomorrow」というゲーム上で、2031年の近未来(バーチャルユートピア)を舞台に、主人公のアバターが異なるゾーンを進み、成長し、最終的にゲームをクリアすることにより「Afterworld」を乗り越えるというストーリーです。

アバターはすべて最新コレクションを着用しており、ゲーム内の作り込まれた世界観に溶け込みつつも、その個性に目を奪われます。また、同時にごく限られたゲストには専用のヘッドセットが送付され、VRランウェイ方式で披露されました。


▼バレンシアガ:Afterworld:The Age of Tomorrowムービー▼

 

▼バレンシアガ:Afterworld:The Age of Tomorrow - LOOKBOOK - 
https://videogame.balenciaga.com/ja/looks

 

【事例4】ランコム:VRポップアップストアでリアルを超える体験を提供

フランス発のコスメブランドのランコムは、2020年8月に、シンガポールにて初のVRポップアップストアをオープンしました。

未来的なデザインのこのバーチャル店舗はブランドを代表する美容液「ジェニフィック アドバンスト N」に特化した企画で、新しい方法で商品に触れることができます。店内に入ると、「Discover」「Explore」「Inspire」「Live」「Shop」といった5つのゾーンを巡ることができ、パーソナル判定、肌診断、著名人によるライブ配信など、店舗を歩き進めながらユーザーが自ら参加体験をしていく仕組みになっています。

現在は、シンガポール版の公開は終了しており、米国市場向けのストアがオープンしています。また、香港、韓国などでも同様のVRポップアップストアがオープンしていました。

▼ランコム「ジェニフィック アドバンスト N」V
Rポップアップストア(米国版)
https://lancomeusa.byondxr.com/index.html?version_hash=06127e4e098997ea8d9f8c31623975df&dependency=https://web-apps.byondxr.com/dependencies/repos/user-concent-lancome-usa/production/index-NOCACHE.js


▼ランコム 「ジェニフィック アドバンスト N」
VRポップアップストア(韓国版)ムービー▼



日本市場向けにはバーチャルホリデーストアを公開

ランコムは日本でも、2020年11月にシャンゼリゼ通りのフラッグシップショップをイメージしたVRストアをオープンしました。スタッフがお出迎えしてくれたり、壁のデザインが変わったり、といった様々な仕掛けが話題となっていました。


▼ランコム VRストア(日本バージョン)
http://smarturl.it/Genifique_Japan


LANCOME_VIRTUAL_HOLYDAY_STORE_JAPAN(※
画像出典:PR TIMES https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000120.000012459.html

 

【事例5】シャネル:ファッションに合ったリップカラーが見つかるARアプリ

2021年2月シャネルが、リップメイクアップアプリ「LIPSCANNER (リップスキャナー)」を発表しました。

このアプリでは、まず友達が今まさに付けている口紅の色や、雑誌のページに移っているモデルの唇、さらにはジュエリーやアクセサリー、お気に入りの鞄の色などをスキャンして、色を読み取ります。すると、瞬時にシャネルの製品ラインナップから読み込んだ色にもっとも近いリップカラーを提案してくれます。

試すリップが決まったら、バーチャルメイクアップ機能で実際に試すこともできます。アプリで写真を撮るか、ライブラリから写真を選んで、ARによって自分の唇にその色を塗って試すところまで、たったの2クリック。ストレスなくスマートにタッチアップすることができます。

シャネル「LIPSCANNER」|画像
(画像出典:https://apps.apple.com/jp/app/lipscanner/id1483594385 スクリーンショット)


▼シャネル:LIPSCANNER▼
https://www.chanel.com/jp/makeup/lipscanner/


アパレルでもFarfetchと共同で「未来のブティック」計画をスタート

なお、シャネルはコロナ禍以前から、アパレルにおいても新たな試みをしています。その1つが、Farfetchと共同で進める「未来のブティック」計画。その一環で、パリのいくつかの店舗にてバーチャル試着を実験的に提供し始めています。

ユーザーが来店前にスマホアプリで気になった商品を選んでおくと、店舗に到着した時にはすでにその商品が試着室に用意されています。

試着室では、インターネットに接続されたデジタルミラーに、選択したすべての製品や、その製品が属するコレクション、アクセサリーなどが複数表示されます。
まるで鏡が自分の意思を持っているかのように、商品をレコメンドしてくれます。

また、スタッフが新たに別のアイテムを試着室に持ち込むと、RFID(Radio Frequency Identification)(※)システムを搭載した小型の機器がそのアイテムを検知し、パリコレクションのキャットウォークで着用したルックを、細かなディテールのクローズアップし、モデルが着用している映像とともに表示します。まさに「未来のブティック」を実現しようとしているのです。

※RFID(Radio Frequency Identification)とは;
FID(Radio Frequency IDentification)とは、RFIDタグと呼ばれる媒体に記憶された情報を、電波などを用いた近距離の無線通信によって読み書き(データの呼び出し・登録・削除・更新など)するシステム、及び技術をさします。身近な例としては、Suicaなどの交通系ICカードがあります。

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(※画像出典:https://fr.fashionnetwork.com/news/Avec-farfetch-chanel-developpe-la-realite-augmentee-en-magasin,1181574.html

まとめ:XRはブランドの主戦場となるデジタルでの大きな武器に

フランスのラグジュアリーブランドは、グローバルなオンラインでの高級品市場において、米国と中国という二つの大きな脅威に直面しており、新たな視点を得て、独自の変化を遂げつつあります。

フランスでは、今回の記事でご紹介したシャネルによる実店舗におけるFarfetchとの取り組みをはじめ、ブランドによるデジタルを活用した新たな顧客体験価値の創造が進んでいます。

アフターコロナにおいては、XRは重要な顧客接点の1つとなり、顧客体験を進化させる有効な手段のひとつとなっていくでしょう。またさらに技術の進化に伴って、全く新しい購入行動、消費を生み出す可能性も秘めています。

最後に、毎年パリで開催されるデジタルの祭典「Viva tech」に招待された、Facebook CEO マーク・ザッカーバーグ氏が、今年(2021年)
ステージで語った言葉をご紹介します。

「ARとVRのおかげで、アプリケーションやサービスの新しい世界が開かれます。これらの没入型技術の発展により、5年後、10年後にはとんでもない未来が待っていると約束します。

また、ARやVRは単に素晴らしい新しい体験を生み出すための手段ではありません。それは、世界中の人々にチャンスをもたらすような経済の波を作り出すものです。」

 


 ■プロフィール

ADDIX_Ukai_Sahoko

 

 

株式会社ADDIX
デジタルマーケティング事業部 コミュニケーションプランニングユニット マネージャー / パリ駐在所長
鵜飼佐保子 Sahoko Ukai

2011年ADDIXへ新卒入社。企画営業、制作ディレクションを経て、SNSマーケティング専門部署へ所属。多くのグローバル企業の日本での認知・売上拡大に貢献しつつ、新規事業の立ち上げも積極的に行う。2016年10月にフランスに渡り、ADDIXパリ駐在所を開設。2019年7月、「ADDIX Paris」提供開始。日仏の架け橋となるべく精力的に活動中。

ADDIX Paris
https://addix.co.jp/paris-socialmarketing/


 

参考記事:
https://mbamci.com/realite-virtuelle-augmentee-tendance-beaute/
https://www.journaldunet.com/ebusiness/commerce/1499569-le-luxe-digital-version-2021/
https://hapticmedia.com/blog/fr/essayage-virtuel/
https://www.elle.com/jp/fashion/a34887188/balenciaga-2021fall-report/
https://fr.fashionnetwork.com/news/Avec-farfetch-chanel-developpe-la-realite-augmentee-en-magasin,1181574.html

 


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Topics: VR