VR活用支援を提供するADDIXでは、これまで多くの企業様のマーケティング施策の一環として、VRコンテンツの企画・制作支援を提供してきました。企業様や制作会社などと共同で、VR制作を進めていく過程において、予期せぬ問題が起こりがちなポイントも見えてきました。
その経験を踏まえ、「VR制作をスムーズに進めるポイント」を3つにまとめました。特に、初めてVR制作に取り組まれる企業様は、動画制作等とは異なる、VRならではの問題に戸惑われることもあるかと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
以下では、それぞれについて詳しくご紹介していきます。
企業のマーケティング活動においてVRはあくまで手段であり、VRを作ること自体が目的ではありません。
ところが、制作期間が長い大型のVRコンテンツの制作では、「手段」と「目的」が置き去りにされがちです。
「メインターゲットはどういう人か?」
「VRコンテンツを観た後に、どんな行動をして欲しいのか?」
「そもそも、どんな課題を解決するためのVRコンテンツなのか?」
制作を進めるうちに、上記のような根本的なことが忘れられてしまうことがあります。
また、制作途中で思いついた主観やアイデアによって「ここはこうしたい」「ここはこんな表現にしたい」と、つぎはぎのように変更が加わっていくパターンもよくあります。これは、発注主である企業側と、実際の制作を担う制作会社などの制作サイドの両方において、全体を俯瞰で判断することができるプロジェクトリーダーが不在の場合によく起きる現象です。
制作途中で思いついたアイデアを取り入れること自体は、必ずしも悪いわけではありません。
ここで重要なポイントは、
「一番大事な目的は〇〇なので、そのアイデアを採用しましょう」
「本来の目的が遠のくので、その表現の採用は見送りましょう」
といった、目的に照らし合わせた取捨選択の判断が出来ているかどうかです。
企画の「テーマや目的」と、その企画における「VRの役割」は、企画が立ち上がった初期の段階では設定されていることが多いと思います(もし設定されていないようでしたら、実際の制作に入る前に設定しておくことをお勧めします)。
実際に、制作を進めている過程においても、「テーマや目的」と「VRの役割」という企画の原点に立ち返ることができる資料を用意しておくといいでしょう。
プロジェクトの初期段階で、あらかじめ「本来のテーマや目的にあった方向に制作が進んでいるか?」を定期的にチェックする定例会をスケジュールに組み込んでしまうのもおすすめの方法です。
制作するVRコンテンツのイメージを、どれだけ関係者間で共通して持てるかどうかは、全体の予算や進行に大きな影響を与える要素かつ、難しい問題です。ここでの認識の違いが大きいほど、制作段階で問題が起こりやすくなります。
初期の段階で、詳細な絵コンテやVRコンテンツのモック(※2)が準備できる制作体制が整っている場合は問題ないですが、実際にはなかなか難しい場合も多いことと思います。この段階では、制作チーム側の体制が整っていない、どの制作会社に発注するかが決定していない、モック作成に予算が組めない、といったことも珍しくありません。
(※2)モック・・・モックアップ、模型。完成後のイメージを視覚化したサンプル。
絵コンテやモックが準備できない場合、企業側と制作側とで共通のイメージを持つためにおすすめなのは、「実際のVRコンテンツを触りながら、完成イメージをコミュニケーションする」方法です。
やはり、百聞は一見にしかず。他社のコンテンツで構いませんので、実際のVRコンテンツを見ながら「アウトプットイメージに近いものはどれか?」「どんな表現がイメージしているものに近いか?」「目的を叶えることができそうか?」についてコミュニケーションを行うことで、効率的に意思統一を図ることができます。
また、制作するプラットフォームが決まっている場合には、実際にそのプラットフォームを使って制作された他社事例をなるべく多く見ることをおすすめします。
特に固定のプラットフォームに合わせてVRを制作する場合には、変更が可能な箇所と変更できない箇所が明確に決まっているため注意が必要です。「〇〇の機能がないから、企画の目的を叶えることができない」など重大なミスに後になって気付くことがないよう、企業側・制作側の関係者全員で、そのプラットフォームで作られた他社のVRコンテンツをしっかりと確認するようにしましょう。
ADDIXでは、制作期間に余裕がある場合、本番撮影前に簡易的なVRを作成することがあります。絵コンテなどの平面よりも具体的なイメージをすり合わせることができますので、打合せでのイメージ統一が格段にスムーズになります。
まず実際の撮影場所で、ロケハンも兼ねて360°カメラで周囲を簡易的に撮影します。その後、撮影した映像をVR化して「本番の撮影時にどのポイントがしっかり見えるような立ち位置を選ぶべきか?」「クリックして開くコンテンツを、どのあたりに設置すべきか?」といったシミュレーションを行います。
ちなみに、ロケハンを兼ねて撮影を行う場合には、視点の高さ(=カメラ位置の高さ)もシミュレートしておくのがおすすめです。通常は、人の目線くらいの高さ~少し低いくらいが適切な高さです。しかし例えば店舗などで、撮影対象となる商品が載った棚が下の方にある場合などでは、目線よりも低い位置から撮影するほうが良いケースもあります。立った視点からの撮影では、見下ろす形になって対象物が遠く見えるためです。
最近では、360°カメラで撮った画像をアップロードすることで、月額数万円~簡単にVRコンテンツが作成できるWebサービスも登場しています。本番前に簡易的なVRを作成する時は、こういったWebサービスの活用も1つの方法です。
最後に、これは多くの方が意識されているとは思いますが、VRコンテンツであっても、一般ユーザーでは「スマートフォンデバイスから見ている」シーンがほとんどを占めます。
ユーザー側で「VRゴーグルを装着して見る」シーンや「PCから見る」シーンは、「スマートフォンデバイスから見る」シーンに比べると圧倒的に絶対数が少ないでしょう。
そのため基本的には「VRコンテンツは、スマートフォンのブラウザ上で見ることを想定してチェックする」必要があります。VRゴーグルやPCでの見え方を追求していった結果、スマートフォンでは見づらいコンテンツになっていた、ということがないよう注意が必要です。
ちなみにスマートフォンで見る場合には、縦向き画面のままでスムーズに観られるコンテンツが良いと思います。縦向き画面では、横向き画面の時よりも見える範囲(視野)の幅が狭くなります。それを踏まえて、見る方にストレスを感じさせないような、視点移動やコンテンツの設置を心がけてみてください。
企業がVRの制作に初めて取り組まれる際には、制作の過程でVRならではの難しさを感じられることも多いかもしれません。とはいえVRの特性を認識し、問題が起こりがちなポイントを押さえておけば、大きな失敗は避けることができます。
オンライン上にVR空間を構築し、その中で他の手法とは全く異なる体験を提供できるVRは、顧客の体験がより一層重視されていくニューノーマルの時代において、欠かせないマーケティング手法の1つとなっていきます。いち早くVR制作のポイントをつかみ、自社のマーケティング活動にVRの力を活かしていきましょう。
初めてVRのマーケティング活用をお考えの企業様には、VR活用を企画から支援するパートナー企業の活用もおすすめです。弊社ADDIXでは、SNS運用支援などデジタルマーケティング領域で数多くの実績があり、VRの効果的な活用法だけにとどまらない、デジタルマーケティング施策を総合的にご提案可能です。ぜひご相談ください。
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本記事の回答者
※本記事内の情報や部署名・所属等は記事公開時点(2021年5月)現在のものです。