オンラインでの顧客接点構築が当たり前となっている中で、その手法の1つとして「VR(バーチャルリアリティー)」の活用が注目されています。VRは、VR空間の中であたかも実在世界の中に入り込んだかのような、リアリティのある「体験」ができるメリットがあります。
企業やブランドでの活用も進む中、VRはまだまだ導入ハードルが高い印象のようです。そこで今回は、VRコンテンツの制作フローに関する基本をわかりやすくご紹介します。
回答者:株式会社ADDIX 執行役員 中元 直人
※本記事内の情報や部署名・所属等は記事公開時点(2021年4月)のものです。
※種類や費用、制作期間などの「VRの基礎知識」は、前回記事(https://blog.addix.co.jp/21461)にてご紹介しています。併せてご参照ください。
【目次】 |
VRをどう制作するか?撮影の手法によって制作フローは異なる |
VRコンテンツの制作フローは、制作手法によって大きく変わります。今回は大きく2つに分けて、「環境を撮影する場合(実在の環境を撮影して制作)」と「3DCGで構築する場合(ゼロから3DCGで空間を構築して制作)」の制作フローをご説明します。
VRのタイプと制作手法については、前回記事(https://blog.addix.co.jp/21461)にてご紹介しています。詳しくは、そちらをお読みください。
(1)環境を撮影する場合のVR制作フロー
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実在の環境をVRコンテンツとして撮影して制作する場合のフローは、大きく下記のようなステップをたどります。
【環境を撮影する場合の VRコンテンツ制作フロー】 |
フロー「2.制作会社やサービスの選定」の注意点
撮影メインのVR制作での注意点は、制作会社やサービスによっては内容が限定される場合があることです。
例えば、屋外での撮影に適していないサービスや、撮影後の空間に後から画像加工ができないタイプのサービスなどもあります。依頼する前に、制作したいコンテンツの内容や目的、予算を明確にしておき、適切なサービスを選ぶ必要があります。
フロー「3.撮影場所の選定」の注意点
次に撮影場所を決めます。や、移動できる立ち位置数によってによって制作費が変わることが多いため、撮影予定エリアの平米数がわかる平面図があると理想です。
フロー「4.VR内で、コンテンツや情報を埋め込む場所と数を想定」注意点
撮影場所を選定すると同時に、どのポイントにどんなコンテンツ、情報を設定するかをあらかじめ固めておくと良いでしょう。
よくある失敗として、「撮影の時に考慮できていなかったために、しっかり見せたかった場所やコンテンツを設置したかった場所がちゃんと撮れていなかった、遠くから小さくしか撮影できていなかった」ということがあります。そうならないためには、できる限り事前に埋め込みたいコンテンツと設置場所を想定しておくと良いでしょう。
なお、VR内に埋め込む情報やコンテンツについては、テキスト、動画、外部リンク、ウィンドウ内での別ページの表示、といった基本的な要素はほとんどのサービスで対応しています。
フロー「8.公開」について
撮影メインでの作成の場合には、見積もり内容と撮影場所の決定から、最短で1?2週間程度で公開可能なものもあります。
ただし、撮影スタッフの予定や、埋め込みコンテンツの準備がスムーズにいかないなど、公開までに時間がかかることもありますので、余裕を持ったスケジューリングが望ましいでしょう。また撮影後の加工箇所のボリュームや内容によっては、時間を要する場合もあります。
(2)3DCGで構築する場合のVR制作フロー
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一方、ゼロから3DCGで空間を構築する場合のVR制作フローは、下記のようなステップとなります。
【3DCGで構築する場合の VRコンテンツ制作フロー】 |
フロー「2.空間のデザイン方向性、空間内に埋め込むコンテンツや情報等の要件の定義」の注意点
「3DCGでゼロから構築する場合」の、前述の「環境を撮影する場合」と大きく異なる点は、空間そのものをデザインして創り上げる工程が必要なところです。そこでこの場合には、上記制作フローのうち2番目の「2.空間のデザイン方向性、空間内に埋め込むコンテンツや情報等の要件の定義」が最も重要なステップとなります。
このステップでは、関係者間で「どんな空間にしたいのか?」に関するイメージのすり合わせにしっかり時間をかけることをお勧めします。
"VR"という言葉からイメージする内容には大きな幅があり、「VRでこんなものを作りたい」というイメージは人によって大きなばらつきがあります。例えば同じ企画書を読んで企画を進めたけれど、思い描いた完成イメージが関係者間で食い違っていたため、完成後に問題になる、といったことも起こりやすいのです。
最もスムーズ、かつ精度を上げやすい方法は、これまでの各社の制作事例などを参考に、自社が制作したいVRの方向性を検討することです。
3Dの立体的空間を構築するVRは、PowerPointで作られた企画書など平面上の情報だけでは伝わりにくい要素が多いものです。既に公開されている他社のVRコンテンツを実際に見て比較した上で「こういった要素は組み込みたい」「こういったデザインは取り入れたい」などの希望をすり合わせていくとイメージしやすいでしょう。
なお空間のデザインだけではなく、空間内に盛り込むコンテンツや情報、機能に関してもこの時点でしっかりと要件定義ができると、後々の作業がスムーズに進めやすくなります。
あらかじめ予算や制作期間を確保しておき、本格的に企画を進める前に、制作会社に簡易なモックを用意してもらうのも1つの方法です。クラウドサービスで、月額数万円で360°カメラを使ってVR空間を作れるようなサービスもありますので、こういったサービスを活用する方法もあります。
実際にいろいろ試してみて、企業様と制作会社、ディレクターなどの関係者間で「ゴール」の認識を揃えておけると良いのではないでしょうか。
フロー「3.制作会社やサービスの選定」について
VR制作では、使用するサービスや契約プラン、制作会社などによって、実現できること・できないことなどの制約が変わってきます。そのため制作したい内容が固まったら、そのプランに見合う制作会社やサービスを選定する必要があります。
ゴールイメージを明確にして、自社の目的に合う手法でVR制作を成功させよう! |
今回はVRの2つの制作手法による、フローの違いと注意点についてご紹介しました。
VR制作、特にゼロから3DCGで空間を構築する手法で制作する場合には、関係者間で制作イメージに共通認識が持てていないと、作業が後戻りするリスクが急激に高まります。またどんな手法で制作する場合にも、VR活用のゴールのイメージを明確にして、自社の目的に合う手法での制作が必須です。
また、このように多くの検討事項があるVR活用においては、VRの各種サービスや手法、活用方法の知見を持つパートナー企業の活用もおすすめの方法です。
ADDIXでは、DX実行支援企業としての立ち位置で、事業やサービスのグロース支援の一環として、マーケティング・UX目線から企業が成果を出すためのVR活用をサポート可能です。VRの活用をお考えの企業様は、ぜひご相談ください。
本記事の回答者
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株式会社ADDIX
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※本記事内の情報や部署名・所属等は記事公開時点(2021年4月)現在のものです。
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