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日本のサッカー業界におけるデジタルシフト事例

Posted by ADDIX on Dec 28, 2019 12:46:13 AM

近年スポーツ業界におけるマーケティングの進化が注目されており、デジタルを活用したマーケティングも活発になりつつあります。今回はJリーグそして各チームにおけるデジタルシフトの取り組み施策から、アカウントの統一、価格システム、利便性向上の事例をご紹介します。

■事例1:Jリーグに所属する各チームのユーザーアカウントの統一化「JリーグID」

▼公式アプリClub J.LEAGUE公式アプリClub J.LEAGUE_画像(※画像出典:https://www.jleague.jp/news/article/9808/

近年、Jリーグはデジタルシフトに力を注いでいます。その取り組みの1つが「JリーグID」です。Jリーグは2017年から、試合チケットの購入に加え、グッズの購入、Jリーグ公式アプリ「Club J.LEAGUE」の利用用アカウント、スタジアムで使えるWi-Fi接続など、Jリーグや各チームが提供するサービスのアカウントをJリーグが各種サービスで利用できる共通ID「JリーグID」をスタート。消費者が1つのIDですべてのサービスを利用できるようにしました。

アカウントが1つにまとまったことで、利用者の利便性は大きく向上し、導入から2年で会員数は約38万から約130万に増えました。また、スタジアムへの来場履歴から、試合終了後にアプリを通じて来場者アンケートを実施します。「食べ物がすぐ完売した」「バスの待ち時間が長い」などの不満点を洗い出し、来場者の満足度を高める改善策も打ちやすくなりました。JリーグIDと公式アプリを活用し、対面調査でかかっていた時間、費用の大幅軽減につながりました。

■事例2:AIでチケットの価格を変化させる「ダイナミックプライシング」

▼「ダイナミックプライシング」によるチケット価格の変動例

Jリーグの取り組み、2つめは「ダイナミックプライシング」です。Jリーグにおけるダイナミックプライシングは、過去4年間のチケット販売データをAIが解析して試合ごとの“価値”を算出し、席種ごとに最適な価格を提示し、1日1回のペースで価格を改訂するというシステムになっています。ダイナミックプライシング導入のメリットとしては、需要が下がる時期でもチケットの価格が最適化されるためチケットを多く売ることができるという点があります。

AIが算出した最適価格を採用するかどうかの裁量権は各チームにあり、席種ごとの価格も各チームで上限・下限を設定できます。2019年12月時点で、ダイナミックプライシングは、横浜F・マリノスと名古屋グランパスエイトが全試合・全座席で導入しています。

■事例3:Jリーグ独自の入場管理システム「ワンタッチパス」

▼「ワンタッチパス」利用イメージワンタッチパス使用例

3つ目の取り組みは「ワンタッチパス」です。ワンタッチパスは、元々「Jリーグ全試合対象観戦記録システム」についたサービス名です。チケットレス入場による利便性の実現だけでなく、観戦履歴のデータをJリーグが取得出来、来場者のサービス向上に役立てています。従来は、専用ICカードでワンタッチパスを発行していましたが、JリーグIDとワンタッチパスIDを連携させることで、公式アプリ内の「アプリ会員証」で代用できるようにしました。

チーム側のメリットとしては、入場時の時間的なロスを削減できるだけでなく、転売目的のチケット購入を防ぐ効果があり、本当に観戦したいファンに観戦のチャンスを与えることができます。ファンにとって便利な付加サービスとしては、チケット購入者が観戦することができない試合を選んで電子メールで友人や知人などに譲渡転送できる機能もあります。貴重なチケットを無駄にせずに済むことはファンにとって大きなメリットになります。

2019年12月現在、Jリーグ公式アプリのJリーグIDと各チームのワンタッチパスとの連携は、鹿島アントラーズ、ベガルタ仙台、ガンバ大阪が試験的に導入しています。

■事例4:試合中に観戦席からスマホで飲食を注文

▼スマホで飲食を注文する実証実験の様子(※画像出典:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52574350V21C19A1LX0000/

これまで、サッカーというスポーツの特性上、来場者が試合中にスタジアムグルメや飲み物などをほとんど買いに動かないという課題がありました。これにより、試合前やハーフタイムに飲食ブースでは行列ができ、来場者の満足度は下がる上に飲食売店の売上も伸びませんでした。

そこでアビスパ福岡と、ジェフユナイテッド市原・千葉では、それぞれ座席で試合を観戦しながら、飲食物などが注文出来るシステムの実証実験を行いました。アビスパ福岡の実験では、各シートにあるカードのQRコードを読み込み、飲食を注文できるというシステムを導入しました。これにより、観客が売店に並ぶ手間なく試合観戦を楽しむことができ、ファンの満足度を高めることが期待されています。

またこのシステムには、取得データを来場者の満足度向上に役立てることができるメリットもあります。ジェフユナイテッド市原・千葉の実験では、当日の試合内容と購買データを取得して分析を行いました。その結果、試合の勝敗が売上の増減と相関しているということが明らかになっています。

【日本サッカー業界デジタルシフト事例:まとめ】

デジタルシフトで、ファンが便利にサッカー観戦を楽しめる未来に

今後、東京オリンピックを機に、日本でもサッカーをはじめとするスポーツ業界にさらに注目が集まり、活気づいていくことが予想されます。Jリーグや各チームのデジタルを活用したサービスがより活発化していくことで、近いうちに来場するファンがより手軽に楽しくサッカーを観戦できる未来がやってくるのではないでしょうか。


■参考記事
https://dev.dynamic-pricing.tech/post/sports-ticket-dynamic-pricing/
https://markezine.jp/article/detail/32480?p=2
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/casestudy/00012/00208/
https://www.jleague.jp/release/article-00002778/

Writer Profile

松本匡平
株式会社ADDIX デジタルプロデュース事業部 ヘルスケア&スポーツチーム

ADDIX_Matsumoto_Kyohei

千葉県松戸市生まれ。大学時代、学外活動で山梨県丹波山村の地方創生事業に携わり、ジビエ肉加工工場設立に貢献。その後、他大学の仲間と共にグルメアプリを開発。その経験からデジタル領域に興味を持ち、2019年に企業のデジタルシフトを支援するADDIXに入社。現在は、デジタルプロデュース事業部 ヘルスケア&スポーツチームに所属し、産業調査・分析を担当している

 


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Topics: デジタルシフト