KPIは、売上目標などのKGI(※1)を達成するために設定されるものです。ですが、設定したもののうまく運用できない、KPIを売上など成果につなげられないという声をよく耳にします。実は本当に結果が出せるKPIを設定するためには、注意すべきポイントがいくつかあります。
この記事では、KPI設定の基本ルールと、KPIを売上などのKGIの達成につなげるための3つのポイントをご紹介します。
※KPIの基礎知識、KPIとCSF、KGIの関係については前回記事でご紹介しています。基礎から学びたい方は、そちらを先にお読みいただくことをおすすめします。
【目次】 |
1. KPI設定の基本ルール「SMART」とは? |
具体的なKPI設定の前に、まずはKPIとする指標が基本ルール「SMART」に当てはまっているかを確認しましょう。
「SMART」は、「S(Specific):明確である」「M(Measurable):計量できる」「A(Achievable):達成可能性がある」「R(Relevant):KGIと関連がある」「T(Time-bound):期限が定められている」の頭文字です。
KPIとは、「明確かつ計量可能で、達成の期限ごとに効果測定ができ、その達成がKGIの達成にむすびついているもの」でなければなりません。
この注意点を踏まえたうえで、効果的なKPI設定のポイントを具体的に見ていきましょう。
2. 設定のポイント(1):売上などのKGI達成に効果が大きいポイントをみつける! |
成果につながるKPIを設定するには、「どうすれば最終目標(=KGI)を達成できるか」という視点が欠かせません。
売上アップにつながるKPIは?
|
ここでは1つの例として、ECサイトで「売上」をKGIとした場合について見ていきます。
ECサイトでのユーザーの行動には、「サイト訪問」から「購入」までいくつかのステップがあります。各ステップから次のステップへと進むユーザーの割合を増やすことができれば、最終ステップである購入=売上をアップできます。
【図2:ECサイトのKPI設定の例】
(※ECサイトで、売上をKGIとした場合のKPI設定例。どのステップを改善するとKGI達成に貢献できるかを考えて、KPIに落とし込んでいきます。)
そこでまず注力するステップ(「CSF」※2)を選び、そのステップにKPIを設定する、という手順で考えていきます。
(※2)CSF(Critical Success Factor:重要成功要因):詳しくは前回記事参照
注力するステップの選び方
ステップを選ぶ際のポイントは、「もっともKGIの達成に貢献できるのはどこか?」です。
たとえば「直帰率が現状でかなり低く、これ以上の改善はむずかしい」という場合には、直帰率をKPIにしても成果を上げることは難しそうです。一方「サイト回遊率がまだまだ低いので、施策によっては大きくアップできそう」という場合には、サイト回遊率をKPIとすることで売上アップにつなげられる可能性がありそうです。
現状の分析をもとに、KGIの達成につながりやすいKPIを設定しましょう。
3. 設定のポイント(2):ユーザーの分析でCSFを絞り込む! |
ライフスタイルの多様化が進み、いまや同じ年代・性別であっても情報のタッチポイントはさまざまです。そのため成果を出せるKPIの設定には、ターゲットユーザーの分析が欠かせません。
タッチポイントはユーザーによって違う
|
一例として、弊社実施の調査(「情報収集に関する意識調査」https://blog.addix.co.jp/182281)結果をご紹介します。
この調査は、首都圏1都3県在住、25~29歳の働く未婚女性500人だけが対象ですが、ファッションについての情報入手先が多様であることがわかります。
【図3:(調査結果グラフ)20代後半女性のファッション情報入手先】
(※出典:https://blog.addix.co.jp/182281 2018年2月実施「情報収集に関する意識調査」実施元:BWRITE)
【図4:(タッチポイントの多様化)20代後半女性のファッション情報入手先】
(※2018年2月実施「情報収集に関する意識調査」https://blog.addix.co.jp/182281の回答データを元に、BWRITE編集部にて画像作成。)
この結果を踏まえていただくと、狙うユーザーによって注力すべき重要施策であるCSFが異なり、KPIとするべき指標も変わることがイメージしやすいかと思います。
たとえば、SNSをあまり使わないユーザーに対して、SNSでのリーチをCSFに、リーチ数をKPIに設定しても結果にはつながりません。また、Twitterをメイン使いしているユーザーが多ければ、FacebookでのリーチをCSFとして、KPIを設定しても効果は出ないでしょう。
結果を出すためには、ユーザー分析をしっかりと行い、有効な接点での施策をCSFとすること。そして、そのCSFの進捗を測る指標としてのKPIを設定することが大切です。
4. 設定のポイント(3):担当スタッフのレベルに合わせたKPIに落とし込む! |
KPIを設定したら、実際の業務に落とし込んでいきます。KPI達成を担う現場への落とし込みがうまくいくと、目標達成の可能性はぐんと高まります。
現場にKPIを落とし込む際には、各担当者のスキルレベルに応じた内容の調整が重要です。
たとえば、とあるECサイトで下記のような3つのKPIがあるとします。
【KPIの現場への落とし込み】ECサイトの場合(例)
(1)ECサイトの コンバージョン数を1,000件達成する
(2)メールマガジン経由の訪問数を1,000件達成する
(3)メールマガジンを6本送る
この例では(1)から(3)の順に、KPI達成に向けた施策の選択肢が少なくなっています。(1)では選択肢の幅が広く、実現のためにさまざまな施策ができそうです。それに対して、(2)や(3)では選択肢はかなり限られています。
では、これらのKPIを各担当者に任せる場合を考えてみましょう。経験とスキルを持つベテラン担当者であれば、(1)のKPIを任せると高い効果が出せそうです。一方、経験の浅い担当者に(1)のKPIを割りふっても、何からはじめるべきか判断できず、迷いややりなおしが発生する確率が高くなるでしょう。そのような担当者には、迷いが生まれにくい(2)や(3)のKPIが適しているかもしれません。
どの担当者にどのようにKPIを割りふるかをしっかりと計画し、確実に結果につなげていきましょう。
KPIの運用⇒進捗確認で施策の精度を高め、目標達成につなげよう! |
今回は、効果的なKPI設定のポイントをご紹介しました。日々の業務に役立てていただけるポイントはありましたでしょうか?
KPIを設定したら、次は運用。運用を回して成果を出すには、KPIの進捗を確認するポイント・時期・期間を調整しながら精度を高めていく手法も効果的です。
結果につながるKPIを設定して、目標達成につなげていきましょう!