日本は観光国として年々急成長をしており、2018年の訪日旅行者数は約3千万人を超え、過去最高を記録しました。※1
一方で、外国人観光客数ランキングで毎年世界一位のフランスは、2015年にパリで起きたテロの影響が危ぶまれたものの、2018年にはむしろ勢いを盛り返して約9千万人の観光客数を達成し、2020年には1億人を目指している言われています。※2
そこには、街並みや食や芸術など、フランスの観光地としての魅力に頼るだけではない、新たな挑戦と努力が見受けられます。今回はそんな観光大国フランスの最新のデジタル施策を紹介していきます。
バーチャルアシスタント「ルーシー」が最高の旅を提案。
エールフランス航空は、「ルーシー」と呼ばれるチャットボット・サービスを新たに開始しました。ルーシーはAIを活用した自動会話プログラムで、会話を通じて“顧客に最高の旅を提案すること”がミッション。
顧客が旅行を計画している時、空港で飛行機を待っている時、もしくはただ暇な時、ルーシーとの楽しい会話を提供することにより、顧客と接点を設けることができるというデジタル施策です。
(出典:YouTube:https://youtu.be/ENFYhm7vpmELucie)
現在は、フランス、カナダ、アメリカ、イギリスからの旅行者に向けた会話コンテンツを提供しています。
チャットボット「ルーシー」を実際に使ってみた!
そんなルーシーと実際に会話をしてみました!
エールフランスのルーシーのページからFacebookメッセンジャーにログインすると、可愛らしいルーシーのGIFアニメが現れ、会話をぐんぐんリードしてくれます。
まずは、「行きたい旅先のイメージを絵文字で送って」とリクエストされ、風景や食べ物などの絵文字をいくつか送ります。次に「誰と行きたいか」聞かれ、用意された選択肢が現れます。「カップル」を選ぶと「やっぱりね?!」と茶目っ気たっぷりに答えてくれるルーシー。その後、「ショッピングか大自然か」などの嗜好をAB二択の質問に答えていきます。
回答する際は、特に文章を自分で作る必要もなく、好きな絵文字で答えたり、すでに用意された写真付きの選択肢をタップするだけなので、ストレスフリーで会話がどんどん進みます。
質問に答えていくと、最後にいくつかの旅行先をルーシーが提案してくれ、その中から気に入ったものをタップすると、その都市の紹介ビデオまで送ってくれます。そこからさらに「詳しく見る」をタップすると、そこで初めて、選んだ行き先への航空券の値段を見ることができます。
このように、最終的には航空券への導線があるものの、会話に友人を招待することもできるなど、顧客とのコミュニケーションを主目的とした、嫌みのない施策だと言えます。
ターゲットのフェーズに合わせたデジタル施策
今回紹介したエールフランス航空のチャットボットサービスは、フランスの魅力を押し出してコンバージョンに誘導するような施策ではありませんが、ユーザーの潜在的ニーズを発掘し、彼らとの接点を作り出し、コミュニケーションの継続を可能にすることにより、ニーズ顕在化とユーザー囲い込みができる施策だと言えます。
■Air France Lucie
https://www.airfrance.fr/FR/fr/common/avotreservice/relationclientele/air-france-bot-lucie.htm
参考:
※1:インバウンド 訪日外国人動向
https://www.tourism.jp/tourism-database/stats/inbound/
※2:Tourisme : la France n’a jamais accueilli autant de visiteurs etrangers
https://www.lemonde.fr/economie/article/2018/10/03/la-france-n-a-jamais-accueilli-autant-de-touristes-etrangers-mais-peine-a-convaincre-les-nationaux_5363995_3234.html