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地域創生・インバウンドは専門家と取り組む!“アウトドアツーリズム”の組み立て方と佐渡市の事例

Posted by ADDIX on Feb 27, 2023 4:05:17 PM

日本の豊かな自然は海外からも注目されており、インバウンド施策の重要なファクターです。一方で「自分の地域の魅力は何なのか」「どう集客につなげればいいのか」に悩まれる地方自治体・地域の方も多いかと思います。

地域の魅力を生かし、自然・アウトドアをキーとした高付加価値な観光コンテンツを開発するためには、外部の専門家と連携した戦略的な全体設計が必要です。

ADDIXでは「専門家を交えて作る“アウトドアツーリズム”の組み立て方」をテーマとしたウェビナーを開催。専門家を交えた地域の魅力づくりについて、アウトドアの専門家として全国各地でコーチング実績のある弊社朝比奈、地域創生の専門家である株式会社サービスマーケティング 代表取締役 清永治慶 氏が登壇しました。

2名が実際に携わった、佐渡島のアウトドアツーリズム事例もご紹介します。

(セミナー登壇者)
株式会社ADDIX プラットフォーム事業部エグゼクティブプロデューサー/フィールドライフ編集長 朝比奈 耕太
株式会社サービスマーケティング 代表取締役 清永 治慶 氏

(2023年1月24日開催「【地方自治体・関連団体向け】地域創生・インバウンド ウェビナー「地域の高付加価値化実現へ。専門家を交えて作る“アウトドアツーリズム”の組み立て方」より
※本記事内の情報、部署名・所属等は2023年1月24日現在のものです。

  

 

1. アウトドアツーリズムに欠かせない専門家との連携

2023年に入り、コロナ禍で落ち込んでいたインバウンドが本格的に戻りつつあります。

地方創生・地域活性化においては、今後国内だけでなく、インバウンドも見据えた高付加価値化を図り観光産業を発展させる必要があります。

その手段として、日本の豊かな自然を活用した「アウトドアツーリズム」が注目されています。海外客が高い価値を感じる日本の自然を観光コンテンツとして活用し、地方への来訪・滞在を促して消費拡大を図るものです。

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(ウェビナー資料より)

その地域への来訪者を増やすには、他の多くの地域の中から、お客様に訪問先として選ばれる地域でなければいけません。

そのためには、戦略的に地域の魅力を磨き上げ、差別化を行うことが重要ですが、そもそも「自分の地域の魅力がわからない」「どう進めたらいいかわからない」という地域も多くあります。

地域の価値を磨き上げ、持続可能な地域づくりを進めるには、継続的な集客につながる戦略設計が必要です。そのためには、戦略部分からうまく外部の人材・専門家と連携することが欠かせません。

 

2.地域活性事業における専門家のコーチング

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(ウェビナー資料より)

株式会社ADDIX プラットフォーム事業部エグゼクティブプロデューサー/フィールドライフ編集長の朝比奈は、出版業界で編集業務を長く経験。『PEAKS』『ランドネ』『フィールドライフ』といった数々のアウトドア誌を創刊に携わっており、アウトドア業界には20年ほど関わりがあります。

その縁から、一昨年より、官公庁(観光庁、文化庁など)の依頼を受け、アウトドアの専門家として地域活性事業へのコーチングを担当。

編集者目線からのコンテンツ作り・プロモーションの実績と、アウトドアの専門ガイドや料理家、写真家などアウトドア業界のネットワークを駆使し、アウトドア文脈での観光コンテンツづくりに多く携わっています。

■コーチングでの支援施策例
・高付加価値ツアーの造成
・ウェブサイト企画・制作/リニューアル
・動画制作/スチール撮影
・プロガイド(カヤックや料理など)招聘 など

 

※コーチとは
観光庁を中心に、数年前から持続可能な観光コンテンツづくりを目指し、事業継続支援のための地方助成金がスタート。これまで地域の観光事業に助成金を投資しても、その事業が継続できないという課題がありました。事業を継続できる仕組み作り、アドバイスを行うのがコーチの役割となります。

コーチとなるのは、マーケターやプランナー、これまで地方活性に関わってきた実績を持つ方、アウトドアという視点で見た時にネットワークを持つ専門家など様々。事業ごとにチームを組んでサポートや改善指導、アドバイスを行います。

さらにコーチだけでは解決が難しい課題に関しては、それぞれが持つネットワークの中からその道のプロフェッショナルの紹介も行います。

※参考※
コーチング事業 | 観光庁
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kankochi/coaching.html
 

 

3. 地域活性事業における共通課題

コーチングを担当した地域活性化事業では、どの地域にも共通の課題がありました。いずれも、当事者である地域の自治体や企業、団体だけでは解決が難しい課題です。

課題の解決には、専門知識や実績を持つ外部専門家がセカンドオピニオン的な立場で入り、第三者目線から設計をサポートすることが重要になります。

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(ウェビナー資料より)

(1)事業としての継続性
助成金は単年であることが多く、助成金ありきで事業を設計している場合には、次年度以降に助成金がなくなったら事業が動かないことも多々あります。

そもそもの価格設定が、事業が成立しないような薄い利幅となっているケースも少なくありません。

(2)人的資源
次世代の担い手がいない場合、キーマンとなる人材がいない場合があります。
人がいなくてできないのに事業展開しようとするのもそもそも問題。事業をやりたいから、担当する人を探す、という仕組みでは続けることは難しくなります。

その事業でその人が生活ができる利益を生み出せなければ続けることができないため、儲からないから担い手がいなくなることも。

(3)地域の協力
地域の自然など、先祖から受け継いだものを商売に使うこと自体を嫌う場合もあります。

また、生活のために林業、漁業をやってきている方々との連携が難しいケースも多く、新しいことに対して認めていただけないことも多いです。

(4)宣伝活動
Webサイトなど、新規で立ち上げたもののコンテンツの更新が止まったページが多く見られます。SNSとの連携もなく、改善が急務。更新を続けていくための予算と仕組み作りが必要。

 

4.地域活性事業の支援スキーム

継続的な集客につながる観光コンテンツづくりのポイントは、地域の魅力を最大限に活かす戦略設計です。

弊社朝比奈が専門家として地域に入り、地域活性化事業のサポートを行う際のスキームは下記となります。

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(ウェビナー資料より)

(1)戦略策定

まず、地域の方や関係者と相談して「だれに、どんな価値を、どう届けるのか」コンセプトをしっかりと詰めていくところからスタート。

(2)仮説検証~実行
次に、戦略で決めた、伝えたい価値を磨き上げていきます。
価格設定、人的資源の確保、外部連携・ネットワークづくりなど。

(3)発信
その磨き上げた価値をどうやって伝えるか。
届けて知っていただかないと販売につながりませんので、ターゲットに届けるためのPRをどうしていくかを考えて、一緒に実施していきます。

(4)分析・改善
最後に、事業は1回作って終わりではなく、定期的に振り返り、持続的なものにしていく必要があります。限られたリソースの中で、施策の継続的な実行が可能になるよう定期的なアドバイザリーも可能です。

 

5.モデルケース:新潟県佐渡市での事例

実際の支援事例として、新潟県佐渡市のケースをご紹介します。地域で付加価値を生み出し、継続的に人を呼び込むための仕組みづくりを行いました。


(1)佐渡市の紹介



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(ウェビナー資料より)

新潟県の西部に位置する新潟県佐渡市(佐渡島)は、四方を海に囲まれています。島の一周は約280km、面積は東京23区の1.4倍と本州最大の島です。

自然が豊かであり、周囲の魅力的な海岸線、ドンデン山などの山の魅力、自転車ツーリングでの全国的イベントもあるなど、アウトドア好きには認知度が高いエリアでもあります。

政府が世界文化遺産登録を目指す佐渡金山など、歴史的な遺跡や建造物も豊富にあります。


(2)佐渡の地域活性事業



佐渡で、弊社朝比奈と清永氏が共に課題解決に取り組んだ事例をご紹介。事業の実行にあらかじめ外部専門家との連携が含まれた、観光庁のアドベンチャーツーリズム事業での取り組みとなります。

事業主体者であるサンフロンティア佐渡と協力しながら、様々な取り組みを行いました。

事業主体:サンフロンティア佐渡株式会社
事業名:「長期滞在型佐渡まるごとアドベンチャーランド事業」
(観光庁 令和3年度「アドベンチャーツーリズム等の新たなインバウンド層の誘致のための地域の魅力再発見事業」採択事業)

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(ウェビナー資料より)

施策時の課題

佐渡には、アウトドアでのアクティビティや食など、魅力的なコンテンツが多数ありますが、そのため逆にアピールポイントが絞り切れないという課題がありました。

佐渡に長期間滞在し、さまざまなコンテンツを楽しんでもらうために、それぞれをつなぐことが必要でした。

また、アウトドアのハイシーズンである夏の時期と、オフシーズンである冬の時期の観光客数の差が顕著であること、アウトドアのアクティビティーを提供する上で、ガイドの人数やレベルが不足しているという課題も。

■実施施策

【施策1】情報発信:春夏秋冬の動画作成

佐渡が1年を通して美しい魅力的な島であることを伝えるために、各季節ごとで4回ロケに行き、夏秋バージョン、春夏秋冬バージョン、冬春バージョンを制作。

四季の美しさと共に、夏はカヤックや自転車、冬はスキーなど、観光からアクティビティーまで佐渡で全部網羅できることをアピール。

▼sado春夏秋冬
https://www.youtube.com/watch?v=FYyjHYqS4_0

 

【施策2】アウトドア拠点整備:「佐渡アウトドアベース」運営アドバイス

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(ウェビナー資料より)

佐渡のさまざまなアウトドアアクティビティをつなぐ場として、拠点となる「佐渡アウトドアベース」が生まれました。清永氏の発案から実現した場所。

コーチに入った時点で集積地となる場所を作ることは決定しており、朝比奈は名称や提供内容など細部を詰める段階から関わりました。

「(山登りや釣り、自転車、キャンプなど、佐渡で楽しめるいろいろなアクティビティを楽しんでほしいということで)つなげなければいけない、というところをお話して、アウトドアベースという、今までなかった場所をしっかり作るお手伝いをしていただいた。

それに合わせて、ガイドの育成ですとか、コンテンツの価格設定、さらにはロゴやポスターなども、全部要望を言いたい放題にお伝えして、サポートしていただきました。

最終的には地元の方も島外の方も集まるような、コミュニケーションをする場所になったのかなと思っています。」(清永氏)

【施策3】情報発信:WEB・動画制作

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(佐渡観光体験情報サイト「GO to SADO」スクリーンショット)

佐渡でのフィールドワーク、アウトドアの遊びの部分に特化したウェブサイトを制作。

制作した佐渡の四季を見せる動画を露出し、さらに新たに造成するガイドツアーの販売の受け皿として作られました。

サイトで販売されている商品は、佐渡アウトドアベースの商品が中心。アウトドアベースで専門ガイドにつないで楽しんでいただく設計となっています。

▼佐渡観光体験情報サイト「GO to SADO」
https://gotosado.com/

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(ウェビナー資料より)

【施策4】高付加価値ツアーの造成 ※2022年継続

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(ウェビナー資料より)

佐渡での2021年度のコーチ実績から、コーチとしてではなく直接依頼をいただいた事例。

トレッキングと食が融合した、プレミアムなツアーコンテンツの造成となります。

2022年「観光庁事業」看板商品の創出事業(コンテンツ造成)採択事業(事業主体者:一般社団法人 佐渡観光交流機構)。

佐渡を知り尽くしたローカルガイド付きのドンデン山トレッキングと、宿泊先となるドンデン山荘でのアウトドアディナーを組み合わせ、単価94,800円の高付加価値な体験コンテンツを作成。

ディナーでは、素晴らしい眺望が広がるキャンプサイトエリアで、アウトドア料理家の協力によるアウトドア演出とともに、ドンデン山荘のシェフによるイタリアンのフルコースを提供しました。

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(ウェビナー資料より)

※参考※ FUNQ記事

https://funq.jp/peaks/article/837550/

(記事中の記載)
雲上ロッジで星空と夜景を楽しむアウトドアディナーツアー
アイランドガイドと歩くSADOジオトレッキング
ツアー開催期間:2022年10月14日~2022年11月10日
料金:¥94,800(1人)
定員:4人
最小催行人数:2人
対象年齢:中学生以上

 

まとめ

観光事業による地方創生には、その地域の魅力を活かした高付加価値なコンテンツづくりと継続的な集客が欠かせません。そのためには事前の戦略設計が必要ですが、地域だけでは解決が難しい課題が多々あります。

その解決には、第三者となる外部の専門家とうまく連携し、セカンドオピニオンを取り入れることが重要になります。

ADDIXでは、数多くのアウトドアメディアIPを保有しており、アウトドアの各分野のプロフェッショナルとのネットワークを持ちます。また、ダイレクトなアウトドアファンとの繋がりから、ユーザーにより近い目線で地域活性支援・地域課題解決のサポートが可能です。地域での付加価値作りや地域創生・インバウンド施策に取り組まれている地方自治体・団体の皆様、ぜひご相談ください。

■セミナー開催概要
【地方自治体・関連団体向け】地域創生・インバウンド ウェビナー
地域の高付加価値化実現へ。専門家を交えて作る“アウトドアツーリズム”の組み立て方
https://service.addix.co.jp/seminar/event_outdoor-tourism_230124
開催日時:2023年1月24日(火)14:00~15:00
開催場所:オンライン(Zoom)
参加費:無料

(登壇者プロフィール)
株式会社ADDIX
プラットフォーム事業部 エグゼクティブプロデューサー  
フィールドライフ編集長
朝比奈 耕太

山岳専門誌『PEAKS』、女性のためのアウトドアマガジン『ランドネ』、アウトドアフリーマガジン『フィールドライフ』、バックカントリースキー&スノーボード専門誌『WHITE MOUNTAIN』、オートキャンプ専門誌『CAMP TOOLS』、エクスぺディンションマガジン『WILDERNESS』等、複数のアウトドア媒体の創刊編集長を務める。
また、観光庁、文化庁による地域活性事業において、アウトドア関連のコーチングを各地で担当。

株式会社サービスマーケティング代表取締役 
清永 治慶 氏

観光庁インバウンドの地方誘客促進のための専門家。長年業績不振に陥るスキー業界にて、10か所以上のスキー場施設に携わり経営を改善、黒字化。消費行動を分析することによって、民間や第三セクター企業のホスピタリティやサービス向上に尽力。
2018年観光庁登録観光DMOの(一社)佐渡観光交流機構の専務理事。2021年3月退任後は佐渡の起業交流推進アドバイザーだけではなく、2022年からは内閣府地方創生人材支援制度により今治市のあきない商社戦略アドバイザーとして地域商社の設立、岩手県八幡平市では観光庁専門家派遣として八幡平DMOのCRM構築推進に従事。

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Topics: アウトドアメディア, 自治体事例