コロナ禍によってユーザーの行動は変化し、オンライン上での「つながり」が求められています。BtoC企業におけるデジタル施策の重要性が高まるなか、注目されているのがSNSと「ライブ配信」「バーチャル店舗」などの新たな顧客接点を組み合わせたアプローチです。
2020年6月開催の「BtoC企業の新しい形のオムニチャネル戦略」セミナー (※1)から、Withコロナ/Afterコロナにおけるユーザー行動の変化とその変化に合わせた施策をご紹介します。
(※1:2020年6月23日、株式会社ADDIXと株式会社CINCの共催にてオンライン開催)
※本記事記載の肩書や役職、情報は記事公開日時点。
コロナ禍で「企業への意識が変わった」44%
Session1「ライフスタイルに合わせた顧客接点の創出~バーチャル店舗、ライブ配信の価値用方法と活用例のご紹介~」に登壇したADDIX デジタルマーケティング事業部・鵜飼佐保子からは、コロナ禍でのユーザーの行動の変化がうかがえるアンケート結果が紹介されました。
特に注目すべきは「コロナウイルス拡大以降に、特定の企業に対する見方が変わった」と回答した人が44%にものぼっていることです。
<「コロナウイルス拡大以降に、特定の企業に対する見方が変わった」44%>
では企業に対する見方はどのように変わったのでしょうか。その点について、ポジティブ/ネガティブ両面での変化があることがわかっています。
<コロナ禍での企業評価の変化は「ポジティブ」「ネガティブ」両面>
なおSNSでの行動の変化については、「外出自粛要請期間、 SNS の利用時間は増えた」35%、「企業のSNSアカウントとの接触が増えた」27%というアンケート結果も出ています。
Withコロナ/Afterコロナにおいて、企業はSNSアカウントの運用にしっかり取り組む必要性があるといえます。
Instagramストーリーズの伸びが加速
コロナ期間におけるSNSでのユーザー行動についてさらに詳しく見ると、Instagramにおける明らかな変化が見られました。
まずはストーリーズ視聴数の変化です。この期間にInstagramでは、ストーリーズの視聴数が31%も増加しました。
<Instagramでは、ストーリーズの視聴数が31%増加>
成長が期待されていたInstagramストーリーズですが、コロナの影響によってその伸びが急速に加速しているようです。
インスタライブの視聴数は50%増
Instagramでのライブ配信、いわゆる「インスタライブ」の視聴数も大きく伸びています。グローバル全体では視聴数が50%増加するなどメディアとして勢いを感じます。
(※FASHIONSNAP.COMでは、ライブ配信の番組表まで作られています。)
ストーリーズやインスタライブが伸びた要因として、デジタル上でユーザーが体験を共有しあって「つながる」流れが加速していることがあります。
AfterコロナでのSNSコンテンツは「体験」「共感」が重要
コロナの影響をうけ、SNS施策では、エンゲージメント獲得、EC誘導のどちらにおいても、「体験」「共感」を意識したコンテンツが今後より一層求められていきます。
「コロナ期間の企業のSNS施策には大きく2つの目的があります。
1つは『エンゲージメント獲得』、もう1つは『EC誘導』です。店舗誘導がなかなか出来ないため、SNSでの顧客との関係継続やECへの誘導を積極的に狙っていくことが大切です。
ただし、 企業にとっては重要なメッセージでも、ユーザーの心に届くコンテンツとして発信しなければスルーされてしまうでしょう。
そこで、ユーザーに特別な『体験』や『共感』を提供できるコンテンツが求められています。
Afterコロナでも『安全面の配慮』『生活価値観の変化』は続くと考えられます。企業にとっては新たな顧客接点の模索が重要ですが、その手法として『ライブ配信』『バーチャル店舗』が有効であると考えています。」(鵜飼)
ユーザーの変化に対応した新たな顧客接点『ライブ配信』『バーチャル店舗』について紹介していきます。
ライブ配信事例紹介:ファッションブランド「Beautiful People」
ADDIXは、ファッションブランド「Beautiful People」のパリコレでのライブ配信を現地でサポートしています。
Beautiful Peopleでは、2017年からパリコレでの現地のショーをランウェイからリアルタイムでライブ配信しています。
「パリコレは世界的に注目される一大イベントですので、ライブ配信についても現地の技術がとても進んでいます。ライブ配信のために複数カメラを設置して切り替えを行ったり、クレーンを使用して撮影したり、最新技術を駆使したライブ配信を実施しております。
結果として、毎回視聴数、エンゲージメント数とも数多く獲得しており、この施策だけの効果ではありませんがフォロワー数も3年間で13万人増加しています。」(鵜飼)
なおライブ配信では、画面上でハートマークを連打できますが、実はこのハートマークは1個1個がエンゲージメント数としてカウントされています。その結果、ライブ配信実施後にはアカウント運用においてもエンゲージメント率が上がり、ユーザーにリーチしやすくなります。実際のケースでも、ライブ配信実施後のアカウントでエンゲージメント率が上昇する傾向が見られています。
パリコレでのBeautiful people事例については、こちらで詳しくご紹介しています。
【Beautiful people様:事例ご紹介記事】
Instagramを駆使しブランド価値を表現。パリコレ初参加「Beautiful People」の戦略。
Instagram新機能を使用し、パリコレランウェイと舞台裏の両方を同時にライブ配信!「Beautiful People」のSNSコンテンツ戦略。
ライブ配信:強みは同時性が生む「リアリティ」
ライブ配信についてのアンケートでは、画像やテキスト、通常の動画などの他の素材に比べて「より臨場感が出る」「より真実味が出る」「より共感できる」といった点が特に評価されています。
オンライン上でのバーチャルなつながりにおいて、他の素材にはないリアリティを感じられることが「ライブ動画」の人気の理由でしょう。このリアリティを生む要素としては、ライブ配信ならではの「同時性」、離れた場所にいても同時に体験ができることがあります。
バーチャル店舗:Google検索が急上昇
一方「バーチャル店舗」については、グローバルでGoogleキーワードの検索ボリュームで急速に検索数が上昇しています。
Googleキーワード検索ボリューム推移を見ると、今年の3月から2倍、3倍に急上昇しています。また、とあるバーチャル店舗の制作会社では、問い合わせ数が実際に10倍以上になっているとのことでした。
<「バーチャル店舗」のGoogleキーワード検索数が急上昇している>
バーチャル店舗:世界観やビジュアル重視の商材に効果的
「バーチャル店舗の活用は、消費者が検討の際にベネフィット、機能だけではなくビジュアルや世界観を重視するような商材・ブランドに適しています。
結婚式場や家具販売店のほか、ラグジュアリーブランドや高級車などで活用するメリットが大きいと考えております。」(鵜飼)
実際の導入事例として、ディオールが本店のバーチャルショップをオープンしているケースや、アウディによるバーチャルイベント、大塚家具での事例などがあります。
まとめ:SNSと複数のデジタル施策を組合せたオムニチャネル戦略を
コロナ禍においては、否応なくリアルの体験が難しくなり「デジタル上での体験」を探すユーザー、模索する企業が急増しました。この期間を経て、結果としてデジタルでの体験の幅がコロナ前に比べてかなり広がってきています。
デジタルでのユーザーへのアプローチが当たり前になり、今後はより一層、企業やブランド、そして体験を届けるべきユーザーにあった施策が重要になるでしょう。
今や主要な顧客接点となったSNSと、新たな接点としての「ライブ配信」「バーチャル店舗」など、複数のデジタル施策を組合せたオムニチャネル戦略が今後は当たり前になっていくのではないでしょうか。
【セミナー概要】
セミナータイトル「BtoC企業の新しい形のオムニチャネル戦略」
開催日:2020年6月23日(火)
Session1:ライフスタイルの変化に合わせた顧客接点の創出 ~バーチャル店舗、ライブ配信の活用方法と活用例のご紹介~
講師:株式会社ADDIX デジタルマーケティング事業部 ソーシャルメディアユニット ディレクションチームマネージャー / フランス駐在所長 鵜飼佐保子
(データ出典)
https://webtan.impress.co.jp/n/2020/05/08/35944
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000017171.html
https://www.fashionsnap.com/article/2020-04-17/instagram-live-corona/
https://trends.google.com/trends/explore?q=virtual%20shop
https://honote.macromill.com/report/20171030/
関連リンク
アパレル・コスメ・ラグジュアリー等、300社以上の実績あり
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