LINEミニアプリは、企業が自社のサービスをLINEアプリ上で提供できるウェブアプリケーションです。昨年から一部企業での先行導入がスタートしており、この7月2日から他の企業に向けたエントリー受付が開始されました。
LINEミニアプリによって企業は、決済や予約、会員登録やポイントカード機能など、ユーザーの日常のさまざまなシーンにおける多様なニーズに応えるサービスを、LINEアプリの中で提供することができます。
仕組みとしては、LINEと連携可能なWebページが開発できるフレームワーク「LINE Front-end Framework(LIFF)」が用いられています。要は「LINEアプリの中で、LINEと連携して動くアプリ」がLINEミニアプリだと考えると、イメージがしやすいのではないでしょうか。
機能的な面では、会員証や予約、決済などLINEが提供している機能も、もちろん利用が可能です。またネイティブアプリ同様に、開発によって独自の機能を実現することもできます。サービス提供にはLINE社の審査をパスする必要がありますが、機能的な意味においてはLINEミニアプリで提供できることは無限といえるでしょう。
ネイティブアプリと比べた、LINEミニアプリのメリットはなんでしょうか。ユーザー側と企業側、それぞれについて見ていきましょう。
メリット(1)利用のハードルが低い
ユーザーにとっての最大のメリットは、LINEミニアプリならストアへ行ってアプリをダウンロードする必要がないことです。LINEはスマホを使う人ならばほぼ全員が利用しているアプリですから、利用のハードルは非常に低くなります。
メリット(2)情報入力が少なくて済む
ユーザーにとっては、利用の際に情報の入力不要、または少なくて済む点もメリットでしょう。ECサイトの会員登録やサブスクリプションサービスの利用では個人情報の入力が必要ですが、LINEログインによってLINEが保有する属性情報の紐づけを許可すれば簡単に登録できます。
メリット(3)LINEホームタブからすぐ起動できる
LINEミニアプリは、LINEのホームタブのトップにアイコンを保存できるため、使いたい時にすぐに起動できます。ネイティブアプリの場合、起動する前にまずスマホ画面に並んだアプリの中からそのアプリを探し出すことから始めなければいけません。たまにしか使わないアプリであれば、探し出すだけでも一苦労ということも珍しくないのではないでしょうか。
(出典:https://www.linebiz.com/jp/news/20200702/)
メリット(4)友だちに情報をシェアできる
LINEミニアプリはLINE上で動くアプリのため、LINEの友だちに情報をシェアする際にも便利です。たとえば予約をしたお店の混雑状況や順番待ちの状況を知らせたり、ポイントがためられるアプリの情報をシェアしたり、といったことがすぐに出来ます。
メリット(1)開発コストをおさえられる
LINEミニアプリを導入する企業にとって、開発の費用や手間が削減できることがもっとも大きなメリットとなります。ネイティブアプリの開発では、少なくともiOSとAndroidの開発が必要です。その点LINEミニアプリならLINEプラットフォームに対応したアプリのみで済みますから、開発のコストをかなりカットすることができます。
メリット(2)ユーザー行動データが取れる
LINEミニアプリの提供によって、予約・注文などオフラインとオンラインをまたいだユーザー行動について、LINEアカウントと紐づいた詳細なユーザーデータが取得できます。
メリット(3)LINE友だちを増やせる
LINE公式アカウントを運営している企業であれば、公式アカウント友だち追加を利用開始時の設定フローの中に組み込むことで友だち数を増やすこともできます。
メリット(4)通知を見逃されない
LINEの通知機能を活かしたアプリ設計ができます。たとえば予約機能のあるLINEミニアプリなら、予約時間が近づくとLINEから通知メッセージを送るといった設計が可能です。
ネイティブアプリでもプッシュ通知は可能ですが、たくさんのアプリの中から探すのが大変だったり、どのアプリから通知があったのかがわからなくなったりしがちです。その点、LINEからの通知ならば、ユーザーに見逃される可能性がやや低くなります。
このようにさまざまなメリットのあるLINEミニアプリですが、どのようにすれば企業はサービスを提供できるのでしょうか。
(出典:https://www.linebiz.com/jp/service/line-mini-app/)
2020年7月27日現在、LINEミニアプリのサービス提供にはLINE社の事前審査をパスすることが必要です。
エントリー窓口より情報を登録し、提供予定のサービスについて企画の詳細をLINEに提出。LINEによる審査に合格したサービスのみが開発を進めることが出来る、というフローになっています。
このように現時点では提供できる企業は限られています。とはいえ、LINEミニアプリには多くの導入メリットがあります。
業種:アパレル
名称:ECサイト「PAL CLOSET」ミニアプリ
目的:店舗からのECサイト誘導、ECサイトタッチポイント増
主な機能:会員証、オンラインショッピング
パルグループの公式オンラインショップ「PAL CLOSET」は、アパレル業界初のLINEミニアプリ導入事例です。店舗での買い物でポイントがためられる会員証、そしてオンラインショッピングの2点に特化してサービスを提供しています。
(※出典:https://www.linebiz.com/jp/case-study/pal/)
先行導入企業の1つとして2020年2月からサービスをスタートしており、PAL CLOSETの登録会員数、および、EC売上の増加を実現しています。
「QRコードから5秒でポイントがたまる!」というキャッチコピーのとおり、店頭では、簡単にポイントがためられるLINEミニアプリのメリットを最大限に訴求。QRコードを読み込み、LINEログインを許可することでミニアプリの利用が可能です。
LINEログインを許可すると表示されるのは、オンラインショップであるPAL CLOSETのTOP画面です。ミニアプリを起動するたびに、毎回オンラインショップのトップ画面が表示される仕掛けになっています。
ポイントはミニアプリですぐ貯められますが、ポイント利用時にはPAL CLOSETの会員登録が必要。まずミニアプリを利用させ、後日ポイント利用をフックに会員登録を促す設計となっています。
さらにLINEミニアプリの利用者を増やす仕掛けとして、300円ショップ「3COINS」店頭からの導線も用意されています。3COINSはオンラインショップPAL CLOSETでは商品を展開していませんが、LINEミニアプリでは3COINS店頭での買い物でもポイントが貯められます。
業種:回転寿司チェーン
名称:スシロー
目的:予約の利便性向上による来店促進
主な機能:来店予約、予約時間通知
回転寿司チェーンのスシローでは、LINEミニアプリを使って来店の予約ができます。LINEミニアプリでの予約には、スシロー公式アプリのダウンロードが不要、LINEで待ち時間が確認できる、予約時間になるとLINE通知で呼び出しができる、というメリットがあります。
(出典:https://www.akindo-sushiro.co.jp/campaign/detail.php?id=1880)
またさらに、LINEミニアプリを使った予約なら、スシローのポイント会員である「まいどポイント」の会員登録をしなくてもポイントがためられる仕掛けも用意されており、利用のフックとなっています。
また、LINEアプリ上のホームタブや検索などからすぐに起動できること、LINEミニアプリからの予約情報や店の混雑の状況をLINEで友だちにシェアできることも、LINEミニアプリならではの便利ポイントです。
LINEミニアプリではさまざまなサービスが提供できますが、効果を最大化するためにはしっかり狙いを絞って、ユーザーに便利さを実感してもらえるサービスを提供することが重要です。そのためには「目的設計」と「LINEのメリットを生かす」ことがポイントになしろうです。
「目的設計」については、ECサイトの売上と会員増という目的に向けて、利用から会員登録まで段階的にハードルを上げていくよう設計されていたPAL CLOSETのケースが参考になりそうです。また「LINEのメリットを生かす」という点では、スシローの予約アプリのLINEならではの通知やシェアの便利さがを活かした設計が参考になるでしょう。
ユーザーの日常のニーズを満たせるサービスを企画し、自社サービスのLINEミニアプリ提供を検討してみてはいかがでしょうか。
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