LINE公式アカウントのセグメント配信(絞り込み配信)とは、ある特定の条件で絞り込んで友だちの一部に対してメッセージ配信を行うことです。
全員にメッセージを配信する「一斉配信」よりも配信数を少なく抑えられるため、費用対効果を高めるには有効な手法です。
また対象を絞った配信では、よりパーソナライズされたメッセージが配信できる点もメリットです。ユーザーの興味関心に合ったメッセージを届けやすいため、ブロック率の低下やエンゲージメント向上にもつながります。
セグメント配信は、企業や店舗にとってだけではなく、そのアカウントと友だちになっているユーザーにとっても望ましい配信手法といえるでしょう。
セグメント配信を行うためには、配信対象となる友だちを何らかの情報にもとづいて絞り込む必要があります。
メッセージの配信方法によって活用可能なデータは異なってきます。
下記2パターンに分けて、活用データ例をご紹介します。
1)LINE保有の属性情報を活用
LINEでは、ユーザーアカウント取得時に性別や年齢、居住地などの簡単な属性情報をアンケートによって取得しています。Official Account Managerからの配信の場合は、それらのLINEが保有する属性情報を、絞り込みの条件として使うことができます(※)。
ただし、LINEの持つ属性情報はみなし属性であり、データ精度の点では自社の会員情報などを利用することが望ましいでしょう。
※属性を利用した絞り込み配信は、選択後の推計対象ユーザーが50人以上必要です。
2)オーディエンスデータを活用
Official Account Managerでオーディエンスを作成し、配信対象を絞ることもできます。オーディエンスは1メッセージにつき10個まで追加可能です。
ユーザーIDや過去に配信したメッセージの開封(インプレッション)やクリック、チャットに紐づいたタグ、友だち追加経路などが設定できます。
※オーディエンスを利用した絞り込み配信は、選択後の推計対象ユーザーが50人以上必要です。
※詳しくはLINE公式アカウント(LINE Official Account Manager) 「オーディエンス」を参照。https://www.linebiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/messages-audience/
1)自社の会員情報を活用
自社の会員情報とLINEのIDを連携させることで、自社で保有する会員登録情報もセグメント配信に活用できます。
購入履歴やメルマガ開封履歴などの情報を使うことで、ECサイトや店舗、メルマガなどの他のチャネルでの行動を踏まえたメッセージ配信が可能になります。このことは、よりシームレスな顧客体験の実現につながります。
またECサイト会員など自社会員の属性情報は、一般的にLINE保有の属性データよりも精度が高いことが多いのも活用のメリットでしょう。
2)アンケートデータを活用
公式アカウントの友だちにアンケート回答を呼びかけ、その回答結果をセグメント配信に活用する方法です。
大きなメリットとしては、基本属性だけではなく自社の商品やサービスに関連する質問をアンケートに組み込むことができること、まだ自社会員ではない見込み顧客に関する情報を取得できることの2つがあります。また、一定の周期で定期的にアンケートを実施すれば、情報の鮮度をある程度保つことができる点もアンケートのメリットとしてあげられるでしょう。
セグメント配信の効果を高めるには、きめ細かいユーザーの分析と理解が欠かせません。それを踏まえたうえで、セグメント配信を成功させる手法を事例とともにご紹介します。
資生堂では、自社通販サイトの新規会員獲得と各ブランドのブランドリフトを目的にLINE公式アカウントを運用しています。その特徴は、自社通販サイト「ワタシプラス」のアカウントやお客様窓口のアカウント以外にも、dプログラム、BENEFIQUEなどのブランドアカウントを複数運営していることです。
顧客ロイヤリティを高めるためパーソナライズを意識しており、アンケートや自社会員情報のほか運営する複数のLINE公式アカウントを友だち登録しているユーザーの情報も活用して、きめ細かいセグメント配信を実施しています。
資生堂の敏感肌向けブランド「dプログラム」のアカウントでは、チャットによるアンケート形式で肌タイプチェックを行い、アンケートの情報から得た肌タイプ分類の結果をサンプルプレゼントを訴求するメッセージ配信に活用しました。
▼dプログラムLINE公式アカウント「肌タイプチェック」
(※画像出典:https://www.linebiz.com/jp/case-study/shiseido/)
宅配寿司「銀のさら」では、デジタルでの販売促進施策の1つとしてLINE公式アカウントを運営しています。2020年2月の時点で友だち数280万人、公式HPからの注文のうち10%がLINE公式アカウント経由など高い成果を上げています。
▼「銀のさら」LINE公式アカウントの主な成果
(※画像出典:https://www.linebiz.com/jp/case-study/gin-no-sara/)
「銀のさら」LINE公式アカウントでは、一斉配信のほか、月5回程度のセグメント配信を実施。配信対象を絞り込む条件として、ユーザーの居住地と生年月日を主に活用しています。
居住地は各店舗のカバーするエリアと紐づけ、地域限定メニューの配信に用いています。また生年月日は、宅配すしの利用シーンの1つである「誕生日」の訴求に活用。月ごとに、誕生月であるユーザーに対してクーポン付きのお祝いのメッセージを配信しています。
不動産・住宅情報サイトの「LIFULL HOME’S」では、One to Oneマーケティングによって長期的な関係を構築し、売り上げ向上を図ることを目的としてLINE公式アカウントを運営しています。
不動産情報サイトは一般に、ユーザーから引っ越し前後の時期だけ必要な存在と認識されることが多く、継続的な関係構築が難しいという課題があります。しかし実際には、賃貸を借りた数年後に住宅購入を考えて不動産情報サイトを訪れる、メンテナンスが必要になるなど、住宅に関する需要は何年かおきに発生することが普通です。そこでLIFULL HOME’Sでは、ユーザーとの長期的な関係づくりを目指して、LINE公式アカウントをスタートしました。
One to Oneコミュニケーションの鍵となるセグメント配信では、LINE公式アカウント上で取得したアンケートデータを活用。それぞれのユーザーのニーズに即した物件の提案や情報発信を行っています。
▼「LIFULL HOME’S」LINE公式アカウント
(※画像出典:https://www.linebiz.com/jp/case-study/lifull/)
LINE公式アカウントのセグメント配信について、機能や活用事例をご紹介しました。
LINEのセグメント配信で成果を上げるためには、自社で保有しているデータの見直しとターゲットユーザーの絞り込み、メッセージの出し分けに分類して考える必要があります。また、これらを自社のマーケティング戦略の一環として、計画・実行していくことが欠かせません。
配信コスト削減に有効なだけではなく、ユーザーの興味関心に合った情報配信ができることで顧客ロイヤルティ向上や売上への効果も期待できます。セグメント配信をうまく活用していくことが、LINE公式アカウントの運用を成功に導くと言えるでしょう。