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DXの実現に欠かせないデータ活用の環境構築とは?

Posted by ADDIX on Nov 24, 2020 4:00:00 PM

急速なテクノロジーの進化と市場のデジタル化に伴い、DX(デジタルトランスフォーメーション)が強く求められています。

DXの実現には、価値ある資産であるデータの活用が重要です。DXにおけるデータ活用の重要性については、前回記事にて触れていますので、本記事ではデータ活用の考え方と環境構築手法のパターンについてご紹介します。

 
1)DXを実現するデータ活用の考え方
1.データ活用の「目的」は?

データの活用は、新たな価値創造や課題の解決に有効な手段として定着しつつあります。では、データをどのように活用すれば価値が生み出せるのでしょうか。

「データ活用」と聞いて思い浮かべるものは、企業や個々人の立場や状況、抱える課題によって異なります。

たとえば、経営者であればデータから導き出された業績予測に基づく予算や計画の立案、マーケティング担当であれば顧客情報やオーディエンスデータを用いた広告配信などが思い浮かぶかもしれません。AIを活用したビッグデータの解析や、BIツールによる分析をイメージされる方もいるでしょう。

もしもデータ活用に対して「データを使えば、何かよい効果がある」という程度の漠然としたイメージしか描けないようであれば、データ周りの知識や自社課題の認識が不足している状態といえます。

データによって価値を生み出すためには、まずその「目的」、データ活用によって得たい成果を明確にすることが大前提となります。

2.活用する「データ」は?

「目的」が明らかになったら、どのデータを、どう活用したら目的が果たせるかについて「仮説」を立てます。そして、仮説の検証のために計測・取得していくべきデータを明確にします。

近年では、自社が保有するデータ以外にも、さまざまなデータを利用できるようになりました。目的に合わせて必要なデータを組み合わせ、多角的に活用していく視点が求められます。

【データの種類】
1)自社が保有するデータ
顧客データ、会計データ、人事データ、EC/店舗購買データ、Webサイトトラフィックデータ、広告運用データ、問い合わせデータなど

2)外部データ(サードパーティーデータ)※オープンデータ含む
消費者行動ログデータ、気象情報APIデータ、デモグラフィックデータ、興味関心データ、人口統計、交通量統計、気象観測統計、消費者物価指数など


また、目的とする領域によって取り扱うデータは異なります。目的とする領域と取り扱うデータの例は以下のようになります。


【目的領域と取り扱うデータの例】

目的1)経営管理
会計データ、人事データ、販売データ、財務状況、国の景気予測統計など

目的2)マーケティング
顧客データ、広告運用データ、EC/店舗購買データ、Webトラフィックデータ、SNS運用データ、問い合わせデータなど

目的3)HR
人事評価データ、勤怠情報、社員データ、採用面接応募者データなど

(2)データ活用環境を構築する手法は?

次に、具体的にどのような手法でデータの収集や分析を行っていくかを考えます。

データ活用の基本は、データを「収集」「統合・加工」「蓄積」「可視化・分析」の4つのプロセスから成り立っています。活用には、これらのプロセスが実行できる環境を整える必要があります。

データ活用のプロセス

データ活用のための環境の整備手法と、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしていきます。

【手法1】MAやCRM、DMP、CDPなどの目的特化型ツールを活用する

データ活用の目的が、マーケティングなど特定の領域に限られる場合には、MA(Marketing Automation)やCRM(Customer Relationship Management)、CDP( Customer Data Platform)、DMP(Data Management Platform)などの、目的に特化したツールの利用が1つの方法です。

メリット:
・目的に特化しているため、施策実施から結果の振り返りまでのPDCAを1つのツールで完結できる。
・自社でサーバー設置やシステム構築を行わないため、保守の手間や工数も不要とIT部門への負荷が少ない。

デメリット:
・分析機能は限定的であり、本格的なデータ分析には向いていない。
・特定領域に特化したパッケージであり、その用途外への活用は出来ないため拡張性は低い。

【マーケティング特化型ツールの例:DMP】
dx2_sub2

【手法2】自社でオンプレミス環境にデータ基盤を構築する

自社のIT部門に依頼してオンプレミス環境にデータ基盤を構築するというのも方法の1つです。

メリット:
・自社の目的や使い方に対応したツールを構築することができる。
・セキュリティや法務上の要件で制約がある場合にも対応できる。
・クラウドと比較してハードウェアレベルでのカスタマイズ・チューニングが可能。

デメリット:
・内製で構築・運用できる企業は少なく、構築および分析がかなり難しい。
・自社でデータセンターを保有し大規模な DWH を構築するので初期投資額が非常に大きい。
・要件定義から行う必要があり、開発機関が長引くためIT部門の稼働コストが高額になる。
・機能の追加やデータソースの仕様の変更、データ量の増大などへの対応には、IT部門による開発が必要。
・クラウド製品の進化は速いため、運用を続ける間に性能面でもクラウドに劣る結果になるリスクがある。

【手法3】自社でクラウドプラットフォームを活用してデータ基盤を構築する

同じく自社のIT部門に依頼する場合、GCPやAWSなどのクラウドプラットフォームを活用する方法もあります。

メリット:
・自社の目的や使い方に対応したツールを構築することができる。
・常に、GoogleやAmazonの最先端のインフラを活用できる。
・従量課金のため、比較的費用が抑えられる。
・自社でスクラッチで構築する場合に比べ開発工数が少なくて済むため、IT部門の稼働コストを抑えられる。
・自社でのサーバー保守の必要がないため、IT部門の負担が少ない。
・データ量が増えても、すぐに追加できるため拡張性が高い。
・クラウドが進化し続けるため、常に最新の機能を活用できる。
・データ基盤構築は激しくコモディティ化しています。内部に専門のエンジニアを抱えるよりノウハウのある企業に外注するほうが安くなります。

デメリット:
・社内にデータを扱える人材がいない場合は構築および分析が困難。
・専門エンジニアを継続的に社内で抱えることが必要なため、結果的には外注よりもコストが高くつく。

【手法4】クラウドプラットフォームを活用したデータ基盤構築サービスを依頼する

データ活用の環境構築においては、社内にデータ人材がいないことが大きなハードルとなります。

その解決法の1つが、データエンジニアやデータアーキテクト、データ分析官といった各種データ人材を保有する企業に、GCPやAWSなどのクラウドプラットフォームを活用したデータ基盤を構築を依頼することです。

この手法でデータ活用をスタートした場合には、その後の実運用においても、分析手法や解析のアプローチなどのサポートを継続的に得られる可能性が高くなります。

メリット:
・社内にデータを扱える人材がいなくても、構築および分析ができる。
・自社の目的や使い方に対応したツールを構築することができる。
・自社でスクラッチで構築する場合に比べ開発工数が少なくて済むため、IT部門の稼働コストを抑えられる。
・自社でのサーバー保守の必要がないため、IT部門の負担が少ない。
・データ量が増えても、すぐに追加できるため拡張性が高い。
・クラウドが進化し続けるため、常に最新の機能を活用できる。

デメリット:
・自社構築に比較すると、契約内容によってはこまめなチューニングが難しい場合がある。


まとめ

データの活用は、自社のDXを強力に押し進めていくためのエンジンとなります。将来に渡ってデータの力を最大限に活かし、価値を生み出し続けるには、市場の変化やデータ量の増大に柔軟に対応できる拡張性の高いデータ基盤の構築が欠かせません。

データ環境基盤の構築に関する技術の変化スピードは非常に早いため、自社の状況をかんがみて最適な手法を選択する際には、将来における拡張性をも考慮する必要があります。

GoogleによるGCPやAmazonによるAWSなど、世界的なデジタル企業が提供するクラウドプラットフォームを組み込むことで、拡張性と技術の先進性を確保することが有効です。

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(参考データ出典)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h26/pdf/n3400000.pdf

Topics: DX