ドラッグストア業界の各社は、デジタル情報を活用し消費者のロイヤルティを向上させるためにアプリの導入を進めています。今回の記事では、前回の記事のデジタルシフト事例で紹介した「自社アプリ」についてさらに詳しくご紹介します。
ドラッグストア業界で導入が進む「自社アプリ」。導入の背景やメリットは?
■導入の背景
消費者は常にスマートフォンを携帯しており、情報をいつでもどこでもみることが可能になりました。そのため、ドラッグストア業界は最新の情報を素早く届けるために自社アプリを導入するようになりました。
■導入のメリット
こちらの前回記事を参考にしてください。
■導入の注意点
アプリは一度インストールされても、様々な要因からすぐにアンインストールされてしまうことがあります。運営側が注意すべき点は以下のとおりです。
注意点(1):ユーザビリティを意識していない設計
便利な機能があっても、操作が複雑であったり、利用の度に煩雑なログイン操作を求められるなど、操作性の悪さがアンインストールにつながります。それに加えて、アプリ全体の構成が分かり辛く、消費者が知りたい情報にたどりつけない、あるいはアプリ上の情報が更新されず古い情報が表示され続ける、といったユーザビリティの悪さがあげられます。
注意点(2):過度なプッシュ通知
プッシュ通知は消費者の注意をひくために有効な手段ですが、頻度が高すぎる場合は消費者を不快にさせることがありますので注意が必要です。
ドラッグストア各社の自社アプリの機能一覧
上記の表は自社アプリの機能をまとめたものです。ドラッグストアの自社アプリに導入されている基本的な機能は以下のとおりです。
■自社アプリの主な機能
・店舗検索
・クーポン
・キャンペーン情報
・会員証
・お薬手帳
・処方箋送付
・ポイントが付与されるイベントやゲーム
・ポイント残高確認
各社のアプリ活用事例
ここからは自社アプリにおける各社特有の機能をご紹介していきます。
■事例1:マツモトキヨシ
マツモトキヨシのアプリでは、「アクティブリワード」というユニークな機能があり、目標の体重に近づけるための運動量や体脂肪量の測定ができます。そして目標達成によりポイントを獲得できます。
アプリのカメラで店舗内外問わず商品のバーコードを読み取って公式サイト内の商品情報や消費者の口コミ情報を確認できる機能があります。
▼「マツモトキヨシ公式サイト:アクティブリワード」(※画像出典:アプリノ https://applinote.com/ios/app/36459/screenshot)
▼「マツモトキヨシ公式サイト:商品スキャン」(※画像出典:マツモトキヨシ公式サイト:https://www.matsukiyo.co.jp/point/mkappli_op/)
■事例2:ウエルシア
ウエルシアグループのアプリの機能は一般的であるものの、ポイントに関しては全国約7,000万人の会員がおり、約100万以上の加盟店を有するTポイントをウエルシアのポイントに採用しています。そのため、Tポイント経済圏の消費者を取り込むよう工夫がなされています。
(※画像出典:App Store https://apps.apple.com/jp/app/%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%9
7%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AAxt%E3%83%9D%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%88/id1095620617)
■事例3:ココカラファイン
ココカラファインアプリでは、アプリ独自の「ファイン」というポイントがたまる仕組みと「スクラッチ」機能があります。「ファイン」は、毎日アプリを起動することでポイントに還元できるアプリポイント「ファイン」がプレゼントされます。また「スクラッチ」は、アプリへのログインやココカラファイン各店舗でアプリを起動してチェックインすることでゲームに挑戦できる機能。タップするとファインやクーポンなどが入手できます。▼「ココカラファイン公式アプリ」(※画像出典:App Store https://apps.apple.com/JP/app/id1107223684?mt=8)
■事例4:薬王堂
薬王堂のアプリでは、店内の商品紹介端末画面(薬王堂TV)やイベント会場にあるQRコードを企業アプリで読み取るとポイントを付与される機能があります。それに加え、消費者はアプリ内の動画を視聴するだけでポイントを貯めることができます。
▼「薬王堂公式アプリ」(※画像出典:App Store https://apps.apple.com/jp/app/%E8%96%AC%E7%8E%8B%E5%A0%82%E5%85%AC%E5%BC%8F%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA/id1321343906)
■事例5:サンドラッグ
サンドラッググループのアプリの機能は一般的であるものの、少ないタップ数で必要な情報にアクセスすることができ、ユーザビリティが考慮された設計がなされております。
▼「サンドラッググループ公式アプリ」
(※画像出典:App Store
https://apps.apple.com/us/app/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%
83%E3%82%B0%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E5%85%
AC%E5%BC%8F%E3%82%A2%E3%83%97%E3%83%AA/id953327495)
【まとめ】
今回はドラッグストアの自社アプリ導入に際する注意点や、アプリの機能の紹介など解説してきました。ドラッグストア各社は自社アプリを導入するにあたり、ユーザビリティなどを意識しつつ、一般的な機能(店舗検索、クーポン、会員証、お薬手帳など)に加えて、各社独自の機能を追加するなどの工夫をしています。
すでにドラッグストア業界にとっては自社アプリの導入は当たり前となっており、それだけでは差別化にはつながりません。自社アプリの活用によって売上拡大につなげるためには、「誰に向けて」「どのような」仕掛けを生み出していくかといった戦略が求められていくのではないでしょうか。