BWRITEイメージ画像

ANAが独自開発のアバターロボット「newme」発表。CEATECに体験ブースを出展。

Posted by ADDIX on Oct 25, 2019 1:56:42 AM

ANAホールディングス(以下、ANA)は、2019年10月15日から18日に開催されたCEATEC 2019に出展。ANAアバターの本格展開と、独自開発したコミュニケーション型のアバターロボット「newme(ニューミー)」の発表を行いました。

BWRITE編集部では、開催前日の10月14日に行われたメディアコンベンションでの「ANAアバター」サービス説明会に参加。ANAアバターの概要説明やアバターイン体験デモを取材してきました。展示からはANAが描く、人類の限界や制限を超える未来社会のイメージがリアルに伝わってきました。

ADDIXは、2018年よりANAアバターに事業パートナーとして参画しています。

■アバターが社会課題を解決する未来へ「アバターイン」

今回ANAが出展した国内最大のIT見本市、CEATEC(Combined Exhibition of Advanced Technologies)の今年の開催テーマは「つながる社会、共創する未来」。メインの企画展示として、「2030年のまち」をイメージした企画エリア「Society 5.0 TOWN」が設置されました。

ANAは、この「Society 5.0 TOWN」内にブースを出展。経済の発展と社会的課題の解決を両立する超スマート社会、Society 5.0の実現に向けて、日常生活のさまざまなシーンでアバターが利活用される街づくりをスタートしていくことを発表。アバター社会インフラの普及を進めていく場としての「avatar-in(アバターイン)」プラットフォームを新たに公開しました。アバターインは、アバターロボットへのログインを意味する造語です。

また、普及型アバターロボットである「newme(ニューミー)」をANAが独自開発し、取材当日の10月14日に世界に向けて発表。会場では、女優の綾瀬はるかさん出演のPR動画も紹介されました。

(※newmeを発表するANAホールディングスの梶谷ケビン氏と深堀昂氏。)

■newme(ニューミー):ANAが開発したコミュニケーション型アバター

この日発表されたnewmeは、コミュニケーション用途に特化したアバター。基本構造は、操作者の顔を映し出し、声を届ける画面とスピーカー、アバター側の映像と音声を操作者に伝えるカメラとマイク、そしてボディにあたる軸部分とホイールが付いたベースのみと非常にシンプルです。手や腕に相当するパーツは無いため、作業を伴う用途には適していません。

デモンストレーションでは、ANAのCAが複数台のnewmeに同時にアバターイン。newmeのクリアな画面からはアバターインしているCAの笑顔が鮮やかに映し出され、笑顔を向けられたこちらも思わず笑顔に。表情がクリアに映し出されることで、通常のビデオ会議やWeb会議に比べて、生まれるコミュニケーションの濃さが違うように感じられました。

newmeというネーミングは、アバターインすることによって、どこからでも別の場所にあるもう1人の「新しい私」として存在できることに由来しています。単なる機械ではなく「新しい私」であることから、ふだんは化粧品デザインなどを手掛けているクリエイターにデザインを依頼。そのイメージにふさわしい、ポップで親しみやすく、全体的に丸みを帯びた柔らかなデザインが採用されています。

頭にあたる上部の部分に縦長の画面があり、その画面に別の場所にあるタブレットPCからアバターインしている操作者の顔がクリアな映像で映し出されます。今回のデモで使用されたnewmeでは上部が固定されていましたが、実際の普及バージョンでは上下60度の首振りが可能になるとのことです。

その下のボディにあたる部分は、丸みを帯びたカラフルなパーツがいくつか縦方向に積み重なるように並ぶデザインとなっています。高さは3サイズ用意されており、もっとも低いタイプのものを除き、中ほどから折り曲げることが可能とのことで、持ち運びにも便利な設計となっています。また、パーツのカラーリングは好みのものを選ぶことができます。

地面に接する最下部にはホイールがついており、アバターインしている操作者によってnewmeを前後左右に移動させることができます。

newmeの各パーツには樹脂が使用され、金属製が中心の従来型のコミュニケーション型アバターロボットに比べて、全体の重量が非常に軽量なことも特徴です。

実際にアバターインを体験してみましたが、タブレットからの操作はとても簡単で、すぐに慣れることができました。前後左右への移動もスムーズです。また、画面の下半分にはnewmeの足元の映像が映し出されているため、目の前にある障害物だけではなく、足元の障害物も避けることが出来そうです。なお自身で避けられない場合も想定し、衝突防止センサーも装備されています。

この日はすぐ目の前のnewmeへのアバターイン体験でしたが、遠く離れた場所のnewmeにアバターインすることで、さらに便利さが実感できるように感じました。一般企業の使い方としては、たとえばオフィス内に置いて、リモートワークや出張時などにnewmeでMTGに参加したら、よりリアルに現場の空気を感じることができそうです。

■ANAアバターが普及した未来社会を6つのブースで体験

ANAアバターの本格展開のイメージは、街中のいたるところにアバターが配置され、アバターを通して、距離や身体の制限を超えて誰もが自分の行きたい場所に”瞬間移動”できるアバター社会インフラが整備された世界です。

ANAのこの日のブースでは、アバター社会へと通じる6つの入り口として、次の6つのブースが用意されていました。

◇ アバター社会への「6つの入り口」 ◇
1:Living Room (リビング)
リビングのPCから、アバターインしてミュージアム鑑賞やショッピングを体験
2.Labo(ラボ)
未来のアバターのコンセプトとともに、Ajility社の2足歩行ロボットを展示
3.Fishing(釣り)
大分県の釣堀に置いたアバターの触感を、リアルハプティクス技術で伝送
4.Skill Share(スキルシェア)
ウェアラブルアバターにアバターインして「体験を共有」
5.School(学校)
newmeにアバターインしたANAのCAによる出張授業体験
6.Kitchen(キッチン)
精巧なロボティクスハンドによる、調理デモンストレーション

このうちのいくつかを体験してきましたので、ご紹介します。

2.Labo(ラボ):Future Tech アバターロボットの未来
森をイメージした背景のブースに置かれていたのは、Agility Roboticsの二足歩行ロボットをベースにした屋外用アバター。ブース内では展示のみでしたが、このロボットが器用に凹凸のある地面の森の中を歩いて移動する様子が映像で流れていました。またこのロボットは、金平糖のようなゴム製の丈夫な手がついており、最大40ポンド(約18kg)までの荷物を持ち上げたりといった作業もできるとのこと。自動運転車で配送されてきた荷物を下ろすなどといった用途も想定されているそうです。

ANAの方によると、将来的には、今回の屋外アバターの歩行機能に、他のロボット企業や、ロボットハンドに特化した企業が持つテクノロジーを組み合わせて、医療や災害救助といったより高度な場面で活躍できるアバターへと進化させていく構想とのことでした。

4.Skill Share(スキルシェア):技術を「カラダ」で受け継ぐ
ロボットの腕と手、カメラがついたウェアラブルタイプのアバターを背負うことにより、アバターインした別のところにいる操作者と共同で作業が出来るアバター。この日のデモンストレーションでは、アバターを背負った人の後方にVRゴーグルとセンサー付きグローブを身に着けた操作者が座り、アバターを操作していました。

用途としては、遠隔地に医療を届ける、遠く離れたところにいるスキルの高い技術者から後進への技術伝承を行う、などが想定されているそうです。

5.School(学校):遠く離れた場所でも授業を
教室風のブースの前方には、ANAのCAがアバターインした状態のnewme。生徒役として、その前に並べられた椅子に取材側の参加者が座っての体験でした。

この日は、newmeの隣に進行役の女性が立って出張授業を進行。ブース内の参加者に発言を促したり、newme越しにアバターインしたCAに1人1人の参加者の話しかけることをうながしたりといったサポートを行っていました。

学校のない地域の子どもたちに、アバターを通して教師が出張授業を行うなどの用途が想定されています。

■あらゆるタイプのアバターに、誰もが”瞬間移動”できる世界へ

ANAのブースからは、ANAアバターが社会インフラとして普及し、日常に溶け込んであらゆる場所に設置されたアバターロボットが、移動手段や自身の身体的な制限を超えた活動を可能にする「人間拡張手段」として利用される未来の暮らしのイメージがリアルに伝わってきました。

現状では、人間の行動すべてを代わって実行できる高機能なアバターロボットはまだ存在しませんが、このブースでの展示からは手や足、目といったパーツごとの技術はある程度揃ってきていることがうかがえました。まずは用途ごとに特化した機能を持つさまざまなアバターロボットが活躍し、それぞれの機能を補完しながら機能することで、アバター社会が実現されていくのではないでしょうか。ANAアバターの今後の展開を期待します。

※現在、ANAアバターでは、ANAとともにアバターの未来を創っていく社会実装パートナーを募集中。「avatar-in(アバターイン)」サイトにて、参画を受け付けています。

■関連リンク
・プレスリリース|ANAグループ企業情報
https://www.ana.co.jp/group/pr/201910/20191014.html
・avatar-in(アバターイン)
https://avatarin.com/
・newme紹介ページ(avatar-in内)
https://avatarin.com/avatar/newme/
・CEATEC
https://www.ceatec.com


関連リンク

Digital_Produce_image-Dec-11-2020-06-00-20-74-AM

 ADDIX Digital Produce

デジタルを活用した、新たなビジネスモデルの創出
ADDIXのデジタルプロデュース事業部は、お客様がビジネスをデジタル化するにあたり、抱えている課題の解決役を担います。「Whyを問い、答えを見つけてからHowを考える」課題解決の方策ではなく、お客様と共に課題解決の組織運営を行い、インパクトある新たなビジネスモデルの創出を推進させる、言わばビジネスプロデューサーです。(これまでの実績企業:ANA・中部電力・集英社他)
https://addix.co.jp/business/digital-produce/


 

Topics: デジタルシフト, ロボット