BWRITEでは昨年11月、共創プラットフォーム「Skets(スケッツ)」会員の20代以上の女性を対象に「ブランドロイヤリティについての意識調査 化粧品編」を実施。現使用のお気に入り化粧品ブランドに対するロイヤリティについて探りました。レポート第2弾は、顧客ロイヤリティを計測する指標「NPS(ネット・プロモーター・スコア ※)」による分析と、ロイヤリティが非常に高い層である「推奨者」の傾向についてお届けします。
(※)「NPS」とは:NPSは、Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略で、推奨度の計測によって顧客ロイヤリティの度合いを数値化する指標。ユーザーを「推奨者」「中立者」「批判者」という3グループに分類し、「推奨者」の比率から「批判者」の比率を引いて算出します。
使用期間が長いほどNPSが高い傾向あり。年代による違いは見られず。
BWRITEでは20代以上の女性143人に調査を行い、現使用のお気に入り化粧品ブランドについてNPSの手法を用いた分析を行いました。
NPSは、顧客ロイヤリティの高さを「推奨度」(=他の人にすすめたい度合い)によって計測するもので、顧客満足度に代わる新たな指標として注目されています。推奨度が高い順に、ユーザーを「推奨者」「中立者」「批判者」という3グループに分類して算出するもので、NPSの値が高いほど、ロイヤリティが高いことを示しています。
具体的には、まずユーザーに対して調査対象とするブランドの商品やサービスなどを友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいあるかを質問し、すすめる可能性の高さを「0」から「10」の11段階で答えてもらいます。9以上であれば「推奨者」、6以下であれば「批判者」となり、「推奨者の比率」から「批判者の比率」を引いた数値がNPSとなります。
【参考:NPSの算出方法】
まず、使用年数別にNPSを算出してみたところ、使用年数が長い層ほどNPSの値が上がる傾向が見られました。この結果を見る限り、長く使い続けられているブランドであるほど、よりユーザーからの愛着や信頼を得ていると言えそうです。
<現使用のお気に入り化粧品ブランドのNPS:使用年数別>
一方今回の調査では、NPSの数値に年代による違いは見られませんでした。
<現使用のお気に入り化粧品ブランドのNPS:年代別>
推奨者の9割が今後も「ぜひとも使い続けたい」と回答。
ではロイヤリティが特に高い層には、どのような傾向があるのでしょうか。NPSにおける「推奨者」(「そのブランドを友人にすすめる可能性の度合い」が、「9」または「10」であると回答した人)の回答から探ってみました。
今後の利用意向の問いに対して、推奨者の89.7%がそのブランドを今後も「ぜひとも使い続けたい」と答えています。ここからは、推奨者が現使用ブランドに対して強いこだわりを持っており、今後も長きにわたって売上に貢献してくれる可能性が高い存在であることがわかります。
あなたは、そのブランドをこれからも使い続けたいと思っていますか?
(全体と推奨者の比較)>
また、推奨者と全回答者で違いが大きかった他の項目としては、そのブランドへの「評価が上がった、印象がよくなった」体験の有無がありました。
あなたがそのブランドを使始めてから今までの間に、
そのブランドの『評価が上がった、印象がよくなった』出来事はありますか?
(全体と推奨者の比較)>
推奨者では、実にその89.7%が使い始めてから今までの間にブランドへの「評価が上がった、印象がよくなった」出来事があったと答えています。一方、全回答者ではこの割合は66.4%で、20ポイント以上もの開きがありました。
この結果からは、使用する中でブランドの評価が上がるような何らかの出来事を経験したかどうかが、ロイヤリティの度合いに影響することが伺えます。
推奨度で満点の「10」を選ぶユーザーは「いい思い出ばかり」。
推奨者の自由回答を分析したところ、大きく分けて2つのパターンが見えてきました。
そのひとつは、満足している点が複数あり、かつ、不満な点がほとんどないこと。いくつかの点で満足感を感じており、その積み重ねがロイヤリティを高めているパターンです。コメント例としては、「品質もいいし、百貨店でも免税店でもいい思い出ばかり。これからも好き。」「安いのに品質がとても良くて、コスパが良かった。新しいトレンドに合った新製品がどんどん出る」「使用感やコスパ、購入しやすさが気に入っている」などといったものです。
もうひとつは、明確な効果の実感があること。使うことによって悩みが解消した、改善効果があったなど、他のブランドでは得られなかった効果を感じているパターンです。「使用してから確実に肌の調子が良くなってきた」「ニキビが出来なくなった。使用しなくなって、またニキビがでるようになったら困るのでぜひとも使い続けたい」などのコメントからは、ブランドへの強い信頼が垣間見えます。
また、さらに掘り下げてみると、推奨者の中でも「9」を選んだ人と「10」を選んだ人とでは明らかな違いがありました。
「9」を選んだ人では、「ものによっては香りがキツいけど、効果があるので続けたい」「質がいいけど、少し値段がはるので」など、実力自体には満足しているものの、他の何らかの点で不満を感じているというコメントが目立ちました。
<Q: 現使用のお気に入り化粧品ブランドを使い始めてから経験した、そのブランドへの『評価が上がった、印象がよくなった』体験の具体的な内容、および、今後の利用継続意向と推奨度の回答理由:自由回答>
~コメントの一部を抜粋(順不同)~
「(20代/フリーランス)
・ブランド名:カネボウ ルナソル
・『評価が上がった、印象がよくなった』体験、出来事:ポイントメーク用品を買ったのですか、周りからの反応が良く、褒められることが増えたので評価があがり、他の商品も使うことにしました。
・今後の利用継続意向:ぜひとも使い続けたい
・利用継続意向の理由:周りからの反応も良く、使いやすく、ベーシックなのに奇抜でない色が揃っているのでこれからも使い続けたいです。
・推奨度:10
・推奨度の理由:ベーシックな使いやすい色味が揃っていて、大人でも使いやすいきちんとした印象に仕上がるのでおすすめしたいです。」
「(20代/パート・アルバイト)
・ブランド名:資生堂 インテグレート
・『評価が上がった、印象がよくなった』体験、出来事:安いのに品質がとても良くて、コスパが良かった
・今後の利用継続意向:ぜひとも使い続けたい
・利用継続意向の理由:コスパが良く、新しいトレンドに合った新製品がどんどん出るから。
・推奨度:10
・推奨度の理由:お値段の割に品質が良いから。」
「(30代/フルタイム:契約社員)
・ブランド名:RMK
・『評価が上がった、印象がよくなった』体験、出来事:たまたまイベントで他店舗から応援にきていたスタッフさんでした。性格なのか、自店舗の売上とは関係ないからかわかりませんが、押し売りする事なく、逆に、私はこのアイテム好きですけど、基本はコレとコレがあればいいので、基本アイテムで足りないと思ったら買ってください!と、すごく好感がもてるスタッフさんでした!また会いたい!
・今後の利用継続意向:ぜひとも使い続けたい
・利用継続意向の理由:質感も好きだし、色も肌に合っている 接客してもらったスタッフさんの印象が良くていいイメージ!
・推奨度:10
・推奨度の理由:質感も好きだし、色も肌に合っている 接客してもらったスタッフさんの印象が良くていいイメージ!」
「(40代/パート・アルバイト)
・ブランド名:ランコム
・『評価が上がった、印象がよくなった』体験、出来事:ビューティー誌の懸賞でスキンケアセットが当たったり、友達のブロガーに誘ってもらい新製品発表会に行ったり、たまたま店舗前を通りかかったらカウンセリングをしてくれて何も買わないのに、大量にスキンケアサンプルをいただいた。それでは悪いと思い、自分でも愛用して大ファンになりました。
・今後の利用継続意向:ぜひとも使い続けたい
・利用継続意向の理由:今まで、購入した以上のサプライズをいただいている。品質もいいし、百貨店でも免税店でもいい思い出ばかり。これからも好き。
・推奨度:10
・推奨度の理由:大好きだから。」
「(50代以上/専業主婦)
・ブランド名:SK-Ⅱ
・『評価が上がった、印象がよくなった』体験、出来事:使用してから確実に肌の調子が良くなってきたこと
・今後の利用継続意向:ぜひとも使い続けたい
・利用継続意向の理由:肌の調子を良くしたいから。
・推奨度:10
・推奨度の理由:この商品は、50代の女性が必要としている肌の保湿に効果的で、老化を遅らせてくれると思うから。」
「(40代/パート・アルバイト)
・ブランド名:オルビス
・『評価が上がった、印象がよくなった』体験、出来事:欲しい物をまとめて買えば送料無料、ポイントで値引きもあるしプレゼントもつく。 サンプルがもらえるのも良い。 そして何より使用感がとてもよく、肌の弱い私でも心配なく使える。
・今後の利用継続意向:ぜひとも使い続けたい
・利用継続意向の理由:私の肌とお財布事情に合っているから。
・推奨度:10
・推奨度の理由:自分が満足しているから。」
女性が信頼するのは、日々ささやかな満足感をくれる、自分を裏切らないブランド。
今回の調査結果からは、化粧品ブランドとユーザーとの間においては、使い続けるうちにさらにロイヤリティが高まっていくというプラスのサイクルが生まれていることが推測されます。
また現在使用している化粧品のブランドロイヤリティが高い層では、商品の効果、店舗スタッフの接客、キャンペーン、価格など、さまざまな要素に対して満足感を感じています。使い続ける中で満足を感じた経験の積み重ねが「このブランドを使い続けたい」という強い意向に結び付いているようです。その中でも特にロイヤリティが高い層では、不満な点が全くない場合がほとんどでした。
化粧品は、多くの女性にとって毎日の生活に欠かせない存在。だからこそ期待を裏切らない、確実に日々ささやかな幸せを感じさせてくれるブランドだけが強い信頼を得ている、と言えそうです。
※NPS(R)、Net Promoter Score(R)、はサトメトリックス、 ベイン・アンド・カンパニー、 フレッドライクヘルドの登録商標です。
<調査概要>
【調査名】ブランドロイヤリティについての意識調査【化粧品編】
【実施期間】2017年11月9日(木)~11 月23日(木)
【調査対象・人数】20歳以上の「Skets」会員女性 143名(有効回答)
【調査方法】WEBアンケート方式
【調査企画・設計/調査主体】BWRITE(運営:株式会社ADDIX)
【調査実施機関】共創プラットフォーム「Skets(スケッツ)https://skets.jp/」(運営:株式会社ADDIX)
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